日本のサイーダさん 〜常見藤代さんの仕事 2009/10/15
福音館の『たくさんのふしぎ』という月刊誌の大ファンである。友人の何人かがこのシリーズに名を連ねている。現在約300号のシリーズが出ているが、わたしの手元には多分そのうちの200冊以上が揃っている。
少し前の5月号、この特集がこれまたすばらしい内容だった。
タイトルは『砂漠のサイーダさん』(常見藤代 文・写真)。6頭から7頭のラクダを従え、生活に必要な最小限の荷物だけを積んで、砂漠を流浪するおばあちゃん、サイーダさんの話である。
サイーダさんは、なぜ定住しないのかという質問に答えて言う(夫や息子夫婦は定住生活)。
「いつも1ヵ所にじっとしているのは好きじゃない。砂漠なら、どこへ行ってなにをしてもいい。ひとつの場所にあきたら、別のところに移動する。いつも動いている暮らしは楽しいよ・・・・」
「荷物は少ない方がいいよ。いつでも好きなときに好きな場所に行ける」
「おいしいものは、たまに食べるから、すごくおいしい」
とにかく現代人はモノを持ちすぎている。モノを大量に持っているのに何かどこかで充たされず、退屈そうだ。
サイーダさんは言う。
「私は生まれてから一度も退屈なんてしたことがないよ」
著者で写真家の常見藤代さんは、保険会社から飛び出してアジアやアフリカを放浪した日本のサイーダさん。
そうして、このすばらしい仕事をされた常見藤代さんには、サイーダさんと同じくらい興味がある。
◎常見藤代さんのサイト
http://f-tsunemi.com/
◆11月号の福音館「こどものとも0.1.2」は『はじまるよ』。画家の熊谷守一絵 ぱくきょんみ文。ブックデザイナーのおかざき乾じろ の腕も冴える。こちらもおすすめだ。
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