平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

SPAC秋のシーズン2009『ドン・ファン』を観る  2009/10/11

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毎年のことだけれど、このシーズンは特にいろいろなことが重なりに重なっている。甘い言葉で?誘って頂いても、美味しいご馳走で誘惑されても、まったく身動きがとれない。
では、どこにどういう優先順位で足を運んでいるのかといえば、答えは簡単明瞭。「先に予定が入った順 先に誘ってもらった順」である。万が一、あとから耳にした予定の方が魅力的だったとしても、まず先の予定を動かすことはわたしの場合にはない。



SPAC(静岡県舞台芸術センター)の「ドン・ファン」(演出 オマール・ポラス)を観る。
これは通し稽古を一度観ているので、演出上のポイントや、いわゆる見所は頭に入っていた。とはいえ、やっぱり芝居のおもしろさは、本番中に演出がどんどん成長していく点にある。芝居終了後、ドン・ファン役の三島景太さんに伺えば、やはりその日の観客の反応によって、本番中に芝居がどんどん変化していくのだという。これは言ってみれば「演出を超えた演出」ということになるだろう。
だが、ここまではよく聞く話。わたしが感心するのは、それを本番中に、バレーボールのように作戦タイムを取って、役者同士が直接ああしよう、こうしようと会話を交わしているわけではないという点だ。だが、彼らはみごとに情報交換ができている。そうとしか思えない。わたしが勝手にそう読み違えているだけか。いや、違う(演出家の目線になるとそれがよくわかる。わたしは何百本ものCMの演出を手がけているのでド素人よりもそれが多少はわかるつもりだ)。それは魚の群れが何某かの外的要因によって、ある一定方向に対して一瞬にして向きを変えるように、意識的か無意識的かは別として、役者同士も反応しあっているのだ。間違いない。ここが演劇のおもしろいところだ。
主役のドン・ファン・テノーリオは、三島景太さん、ドーニャ・イサベラはたきいみきさん、ナポリ王は奥野晃士さん、漁師の娘は木内琴子さん・・・ご苦労様!! また拝見します。

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三島さん演じるドン・ファンが貴婦人に化けるその演技にクラクラ(笑)うっかり撮り忘れたけれど、三島さんは腰から踝までのラインが、ひじょうに色っぽいのだ。

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木内琴子さんも、隠者に化けた(左)。ドン・ファンが隠者に向かって、「神を冒瀆せよ。そうしたらコインをやろう」というシーンがある。隠者は全身に、まるでビブラートがかかったような動きを見せるのだが、あの演出はひじょうに効果的だ。

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ナポリ王役の奥野晃士さんは、芝居終了後、カメラマンに早変わり。

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学生Kさんの台湾のお土産プーアール茶。肩凝りや頭痛に効果があるとか。さっそく頂く。とにかくおいしい。がぶ飲み。しかし、商品名の、さんずいに耳って? 中耳炎にならないか心配。


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