あのひとの活躍 心斎橋編 〜荒木雪破 + 橋爪節也の仕事 2007/07/13
今でこそ、お株を東京にとられたが、かつて大阪は出版のまちであった。中でも、心斎橋はその中心地。そのため文化人が多く集まり、かつて日本における編集文化サロンの全盛期があった。文化人が集うと、バーが記憶のレコーダーになり、ギャラリーがアーティストを育て、古美術商や古本屋が作家を育てる(でも実は逆で、お客が古本屋を育てていた)。
そんな心斎橋でも異彩を放っていたのが、美術書店・森田乙三洞(1895-1959もりたおっさんどう)・・・(そういえば岡野弘彦さんの俳号が乙三でしたね)。
この乙三洞を特集したのが知人の荒木雪破さんの仕事『新菜箸本撰』(しんさいばしほんえらみ)第参号、第四号だ。タイトルは、歌麿の狂歌絵本『画本虫撰』(えほんむしえらみ)の本歌取り。造りは掌文庫だが、これがものすごい充実ぶりだ。本好きを唸らせ、ビブリオマニアを涙させる。
乙三洞もすごいが、このような掌文庫をつくる大阪文化の底力にいつも圧倒させられる。どこそこのお店の味がおいしいだとかおしゃれだーといったフロー情報に飽き飽きしている御仁はぜひご一読を。
それにしても執筆者の橋爪節也氏の筆の力にも舌を巻く。
○手にしたい人は、心斎橋の中尾書店さんへ 06-6271-0843
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