平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

土門拳賞と今森光彦さん そうして日高敏隆先生 2009/04/16

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昆虫の生態や動物行動学のなんたるかは、私淑している日高敏隆先生(プロフィールは最後に記す)からほとんどすべてを教わった。それだけではない。「梅一輪 一輪ほどの暖かさ」という小さな春の訪れ、しかし、それが同時に「巨大な夏」の到来を告げているという自然の循環というもののすごさであることも教わった。それもこれも中学生のときに偶然手にしたコンラート・ローレンツの『ソロモンの指環』(日高先生訳)との出会いに衝撃を受けたことがきっかけだった。爾来、先生の書かれるエッセイを探し求めては、その文字を何度も擦るようにしながら読みふけった。

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実はあるご縁から(TAKAE-Sさんありがとうございます)、きょう一日、その日高敏隆先生のお手伝いをさせて頂いた。「第28回土門拳賞」授賞式で日高先生がご挨拶をされることがきっかけだった。土門拳生誕100年という年に栄えある賞を受賞された今森光彦さんhttp://www.imamori-world.jp/
のひたむきな姿勢と眼差しは、確かにこの賞に値するものだと強く感じたが、きょうは何と言っても一日ご一緒頂いた日高先生の人となりにわたしは改めて感動を覚えた。
日高先生に何か質問したいわけではない。何かを聞き出したいわけでもない。もちろん仕事を持ち掛けたいわけでもない。わたしは、ただただ日高先生という宇宙のなかでたゆたっているだけで気持ちが良いのである。
とにかく自分の不足を感じて、次のステップへ進むためには、「ものすごい人」とご一緒させて頂くのがいちばんである。きっかけをくださったTさん、本当にありがとうございました。

しかし、今年は土門拳というひとの見えない糸に操られているようでならない。
先日こんな文章を書いたり、
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/780.html
そうしているうちに、友人が企画した撮影会で、
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/786.html
偶然土門先生の元お住まいにだった地に導かれたり・・・
この先もきっと何かあるだろう。

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日高敏隆 HIDAKA Toshitaka

1930年東京都生まれ。東京大学理学部動物学科卒業。東京農工大学教授、京都大学理学部教授、同大学理学部長、滋賀県立大学初代学長を経て、2001年4月より2007年3月まで総合地球環境学研究所・初代所長を勤めた。2007年4月より京都精華大学人文学部客員教授に就任。専門は動物行動学。幼い頃より動物の行動に関心を持ち、日本における動物行動学の発展を推進してきた。1982年、日本動物行動学会を設立、長く会長を務め、多くの研究者を育てた。『チョウはなぜ飛ぶか』(1961年毎日出版文化賞 受賞)、『春の数えかた』(2002 年第50回日本エッセイストクラブ賞受賞)、『動物と人間の世界認識』、『人間はどこまで動物か』、『人間は遺伝か環境か』『ぼくの世界博物誌』等著書多数。


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