ザ・リッツ・カールトンホテルのサービスが個人レベルで達成できたらすごいことになる
書評を書くために以前読んだ『リッツ・カールトン 20の秘密』(井上富紀子、リコ・ドゥブランク共著 オータパブリケーションズ)を再読した。
あるセミナーに出席したことがきっかけとなり、わずか2年間で世界21カ国63のリッツ・カールトンを巡った井上富紀子というひとの感動発見記でもある。
分不相応ながら、わたしはかつてヨーロッパを旅した際、一泊数十万もするリッツに宿泊したことがある。それはさながら、前日に訪れた宮殿のようだった。今回の読書は、そのときのことを思い浮かべながら、なぜリッツ・カールトンが世界最高峰のサービスと云われるかを考える機会となった。
リッツ・カールトンが掲げている「クレド」、すなわち理念、使命、ホスピタリティーが個人レベル(チームワーク)で達成できたらとんでもないことになるだろう。そう考えた。
クレドとは、カトリックのミサの信仰宣言(Credo)のはじめの句「我は信ず」に由来しているらしいが、それはけっして宗教の戒律でもなければ、ましてやマニュアルなどでもないだろう。このクレドを分母とし、その上に分子の行動指針とも云うべき「サービス・バリュー」が示される。
喩えて云うなら、プールに満杯の水は、更にもう一滴を注ぐことでフチから一気にあふれ出す。一滴一滴の水はサービス、あふれ出すのがゲストの満足度である。このイメージこそ、まさにリッツ・カールトンのサービスの真骨頂だといっていい。バケツで汲み入れるのではない。サービスは一滴一滴の積み重ねでしかない。
リッツ・カールトンの沿革についてはこの場に記すのは控えるが、リッツといえば、ココ・シャネルが三十年もの間、ヴァンドーム広場のホテル・リッツに滞在していたことはあまりに有名である。
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