平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

プレゼンテーションについてのプレゼンテーション

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10月9日 静岡県男女共同参画センター交流会議で「最高のプレゼンテーションのために」と題して丸一日かけてお話をさせて頂く。いってみれば、受講者のみなさまにプレゼンテーションに関して、プレゼンテーションさせていただく格好となった。
ちなみに午後はオリエンテーションを受けて頂き、グループワークでプレゼンテーションをお願いした。オリエンでは、実際に今回舞台となった交流会議が抱えている問題を課題として出していただき、それについてみんなで考えた。こういったときの課題は、全くの仮想である模擬課題ではダメである。リアルであることが何よりも重要だ。課題を出す側も、提案する側も、傍聴する方々も、みな真剣になれるからだ。
ところで、わたしが午前、午後を通してお伝えしたことは、「プレゼンテーションを支えるのは教養である。総合力である」ということだ。わたしは既に何百というプレゼンテーションの現場に立ち会い、最後の最後はテクニックやハウツーでは乗り切れない大切なことを学んできた。
そもそもプレゼンテーションのハウツーやスキルアップを知りたければ、書店に行けばその関係の本が山のように積んである。それを読んで頂いた方が効率的で、安上がり、おまけに素早く「スキル」を手に入れられる。パワーポイントだって効果的に使えるようになるだろう。
それよりもわたしは、その手の本では伝えきれない、あるいは、文章にすると冗長的すぎて本には成り得ない、しかし、もっとも(わたしが)大切だと思うことをお伝えしたつもりである。
それは何度も云うけれど、プレゼンテーションとは「説得ではなく、共感である」「総合力を上げて、専門性に特化する」ということだ。
ところでこういう講座を受けて下さった方々は、一ヶ月もするとわたしが話したことのほとんどを忘れている。いやいや、それで良いのである。なぜなら人間の記憶というものはそういうふうにできているからだ。ただし、その際に「あのヒゲメガネの講師は確か、プレゼンテーションは説得ではなく共感である、みたいなことを云っていたな〜」と思い出してもらえれば、それでわたしのプレゼンテーション大成功なのである。

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情報意匠論の本格的な授業が始まった。
実は、情報意匠論では、授業の回数とその回のテーマが多重構造になっている。「その一」は「その位置」、「その二」は「その似」、「その三」は「その産(山)」といった具合に回数とテーマがダブルミーニングになって進行する。
きょうは「その一」。位置は、概念や論点のスタート位置としてのギリシア語のTOPSトポス(ポトスは観葉植物ね)、ある場所の中でのその空間の捉え方と構造についてお話をさせて頂く。文化史をずっと俯瞰しながら、そこから「場所」に係わる「型」を取り出して、その型と現代の諸問題に重ねていくという試みである。今年は、例年ではやらなかった「型への注目と強調」を試みている。
終了後、10人で学食へ移動してカレーを食べる。これも恒例の大事なワークの一環である。そのあとは更に加速してハロウィーンで飾り付けられたサーティワンを襲撃! う〜 皆の衆、満足じゃ。


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