この椅子の仕掛は何でしょう 〜もっとも基本的なデザインの話
どうやら公園に設置された椅子(ベンチ)らしい。もしかしたら椅子の展覧会を公園というスペースを使って行っているのかもしれない。場所は北海道。北海道のどこかは知らない。というのも道内を旅行中の大学生Yさんが写メで送ってくれたからだ。
そこには「さて、この椅子の仕掛がわかりますか?」というYさんの挑戦的なメッセージが添えられていた。
わからない〜。背もたれが倒れてベンチになる・・・といい加減な返事。これじゃ普通の回答じゃないか。平野らしくない。そもそも平野らしいってなんだ。自問自答。
で、続けて送られてきたのが下の写真。
なるほど〜、背もたれがなだらかなアールを描いて波打っていて、そこに身を委ねると自らの体が自然と空を仰ぐ格好となる。しかも座る場所によって微妙に体の倒れ方、開き方が違ってくるという仕掛だ。作品タイトル、「空を見よう」。この椅子に座る者は、椅子によって「空を見上げるように体をデザインされる」ということだ。
読書に疲れてきたら徐々に体をスライドしていき、最後は完全に横になってしまう、そんな使い方も良い。
そういえば、思い出した。
以前、ある講座を仕掛けたときに、その場で出たアイデアが「村上春樹を読む椅子」 「宮部みゆきを読む椅子」 「ニーチェを読む椅子」 「サイードを読む椅子」 「C.S.ルイスを読む椅子」など、古今東西の作家や思想家などの本を読むための椅子を商品化しようというものだった。その作家らしさをどうしたら椅子の機能とデザインに反映できるか。そこがこの企画の肝なのだ。
そうそう、忘れてはいけないのが、江戸川乱歩の「人間椅子」。中に入りたいような、入りたくないような。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/531.html
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