平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

人の力  Rの場合 Sの場合

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◆死とはモーツァルトがもう聴けなくなるということだ。そういったのは確かアルバート・アインシュタインではなかったか。それに倣っていうなら、死とは萩原朔太郎を読めなくなることだ。

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◆東京は世田谷 松陰神社駅前のマシバシイネツルカモ(これは店名ね。ちょっとうたた寝してしまったようだの意味。きくちゃん、お久しぶり)の贋作インドカリーを頂きながら、Mさんとリクルート談義(大文字のRECRUITね)。どんな面接を通してR社の社員となるか。なぜRの社員は「強い」のか。そうしてプロジェクトチームが成果を出したキリスト教を型としたビジネスモデルとは云々に心が釘付けとなる。ゴボウのカレーも絶品でした。短時間だったが大変充実した時間を過ごす。

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◆スターバックスがなぜ強いのか。それは同じフランチャイズでもコンビニにはないお客様との距離感にある。
興味深いことに、コンビニのアルバイトは商品知識を一切必要としない。その証拠にあなたはコンビニで「このおにぎりの米の種類は・・・」 「このお菓子の原料は・・・」 「このシャンプーは・・・」などと訊いたことが一度でもあるだろうか。なぜなら、良くも悪くもコンビニにはそんなことは「何も期待していない」からだ。だからコンビニの店員さんから「それ、美味しいですよ」と言われたりするとドキッとする(→このページの水色の文字を読んでみてください http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/244.html)。また笑顔も表情もマニュアルで統一させる。だから網走のコンビニも白神山地のコンビニも(あるのかな?)六本木のコンビニもすべて同じサービスが「安心して」受けられる。それがコンビニなのだ。
一方スタバでは、社員やバイトに生まれてから今までに自分が受けた最高のサービスをイメージしてもらい、そこから自らのサービスを模索するように指導するようだ。いわゆる、笑顔や表情という最高のパフォーマンスが「人によって違う」のだ。そこがコンビニにはない「サービス」なのである。
それから、スタバはフランチャイズだから全国どこでも同じインテリアかといえば、それがひとつとして同じ店舗がないというのもコンビニとは違う大きな特徴だ。しかも、今までのフランチャイズには類例がない地域密着型を目指し、その街や人と結びついてさまざまなイベントも企画している。すなわちスタバは「多様性」こそ売りなのである。
そうして、社員やバイトには新製品に対する知識の習得など、日々「勉強」が課せられる。「なんでこんなことまでしなくっちゃいけないんですか〜とおもうひとは、ここに勤めるのは難しいですね」というのは某バイトさんの印象的な言葉。
もちろんスタバになくて、個人経営のカフェにしかないものもある。それが「カウンター」である。カウンターは縁側であり、文化の軒先である。客とマスターが文化を孵化する一座建立の場だ。これがいわゆる巴里や英国で広告や保険や政党やマガジンやポエムや音楽やサイエンスという文化を生み出したカフェのもっとも重要な仕組みなのだ。

◆先週に引き続き今週も掛川市で講座。テーマはともに「チームで動くこと」。これはずっとわたしのテーマのひとつである。なぜならわたしの仕事そのものが、チームで動くことを基本としているからである。ここでは主にこれまでのわたしが現場で感じてきた反省点をもとに講座を進める。一般論ではない。生の声を伝えるように工夫した。
この講座を進めながらわかったことは、そんなことは当たり前だとおもって耳を傾けない人はやっぱり現場で問題を起こす人。きちんと耳を傾けられる人はチームワークがうまい人。 (笑)本当に聴いて欲しい人に届ける大変さを改めて痛感する(笑)





◆ものづくりに慣れていない人が、ああしたいこうしたいと言い出すと、表現はどんどん生彩さを欠いてつまらなくなる。絶対にプロに任せた方がうまくいく。わたしが個人がそう云うのではない。おおくの経験がそう教える。それは「任せる勇気」「任せる責任」ということである。


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