平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

結末は難しい。『パコと不思議な絵本』『いまここの風景』『20世紀少年』


 ただいま〜 


 忙しいと言いながら映画も観てるし、本なんかもわりと読んじゃってるみたいだし、個人メールには返事もないし、ずるいっ! 原稿、原稿、企画書、はやくしろ〜・・・平野に向かってひと言吐き捨ててやりたいと思っている貴兄に。  これでも睡眠時間をかなり削って仕事もしていますから。  どっかりと椅子に腰を下ろして本なんか読んだりしていると世間様に申し訳ないとおもって歩きながら読んでるし、i-Podで講座や講演も聴いているし、それなりに謙虚な態度で生きています。それに多く人が眠っている間に、がんばっていますから大目に見てくださ〜い。

 テレビ静岡の映画の試写会に当選して『パコと魔法の絵本』を観る。ついでに云えば『20世紀少年』とドキュメンタリー映画『いま ここにある風景』も観る。

 まず、『パコと魔法の絵本』。この映画は「弱さの強さ」というとても重要な問題を訴えかけている。絵づくりや展開からはとても想像できないほど奧が深い(不覚にも涙)。両手を前にずーっと伸ばしても届かないような、その奧にさらなる核心があるように思わせる。登場人物同士のプロットもよくできているし、最後は良い意味の裏切りがきちんと待っている。でも大団円はちょっともたついたかな〜。まるで花火大会のフィナーレのようだった。「片づけ方」「仕舞い方」が確かに難しい映画だとはおもう。
 舞台挨拶に立った主人公のアヤカ・ウイルソンも、司会進行をされたテレビ静岡のアナウンサーさんも良かったので、すべては帳消し。

 『いまここにある風景』が今ひとつわからなかったのは、なぜこれをエドワード・バーティンスキーはムービーに置き換えたのかという理由だ(監督は、違いますよ)。龍村仁が星野道夫を撮ったのとはわけが違う。
 このテーマはスチールのままの方が絶対に力があった。訴えかけた。わたしはそう思う。しかも一枚一枚の絵がポーズをとりすぎている。かっこよく撮りすぎだ。止まらなくていいところでストップモーションがかかったり、映像の色をかなり意図的に抜いたりかぶせたり、相当つくり込んでいる印象をもった。絶対につくりすぎ。もちろんフォトグラファーがつくった映画というのは世にいくつもあるが、今回はそれが影響したのか、画面が気取りすぎていて最後まで鼻についた。公式サイトも、やたらに「動かす」ことを意識しているな〜。

 『20世紀少年』ね、浦沢さんにはすごい優秀な編集プロデューサー長崎尚志がついているんですよ。浦沢さんに対してどんどんダメだしするプロデューサーが。やっぱり原作にも監督が重要な役割を担っているんだな(北島康介やら中村礼子を育てた平井伯昌はやっぱりかっこいいし)。
 『20世紀少年』、漫画を読んでいないので、ぜひ一気に読んでみたい。どなたか貸して頂けませんか。貸してくれないと、全巻大人買いしちゃうぞっ!! 



  三本の映画を観て「結末ってやっぱり難しい」という話。





◆免許証の書き換えをする。ゴールド・ライセンスでみごとにターン。平均すれば週に4日はハンドルを握っているので、これからも注意、注意。

 では仕事に戻ります。
  


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