早く知りたい 簡単に知りたい
特に最近では、人々は答えを簡単に見つけるために一生懸命に汗をかく。
「簡単に見つけるために一生懸命」というのがミソである。
答えがすぐに欲しいのである。
欲しい、欲しい、欲しい、欲しい、欲しい・・・答えがすぐに欲しい。
解りたい、解りたい、解りたい、解りたい・・・簡単に解りたい。
そうして、木を見て森を見ない、そういったことをよくする。
だから、根本的な問題を突きつけられると、ハッと目を見開いて呼吸ができなくなる。
いやいや、それならばまだ良い方で、何が悪いのかと開き直る輩もいる。
マルセル・デュシャンが云った言葉を思い出す。
「解答はない。そもそも問題がないのだから」。
本来ならば時間を掛けて、体を張って、手を使って、一生懸命に汗をかくからこそ「それ」を手に入れる資格があるのではないか。
フランスの美術史家 アンリ・フォションはこう喝破する。
「芸術は手でつくられる」