おっさんミーティング 第三弾 〜時間限定一時間だけですよ編 2008/05/17
最近、『脳内探訪』に登場する「おっさんミーティング」の相手はいっただれなのかと聞かれることが多くなった(ですって、K郎さん)。相手は54歳のB型乙女座(知らなかった・汗)、今時ピシッとした七三ワケ、身長179センチのスーツが似合う大柄優男である。
50歳を記念してはじめたゴルフは、道具にも徹底的なこだわりを見せ、だがわずか数ヶ月でその高価なゴルフセットもタンスの中にホールインワン。船旅用に買ったヴィトンの大型トランク二つも、コーチの大型スーツケースも、黴の温床になっているらしい(ください!)。未だになぜかバブリーな雰囲気をプンプンと漂わせている理由は、リアルタイムでバブルのど真ん中を遊泳した経験からで、その時期にあぶく銭で買い求めて置いたアルマーニのスーツがまだ袖も通さずクローゼットを埋め尽くしているという(自己申告)。
実名を出して良いかと聴いたが、それだけは勘弁してくれというので、「K郎さん」とだけ云っておこう(そのうちばらしてやる!!)。飲んだくれで、仕事もそっちのけで美味いものを食べ歩き、暇を見つけては某骨董屋に出入りしている。自身の骨董コレクションもすごい。絵画も○○○○のコレクターとして、その世界では大変良く知られている(なるほどネットを検索すると確かにすごいヒット数だ)。良いものをきちんと手元に置いて自分の眼で観ている人である。今は意外とまっとうに(親の会社の)役員に就いていて、十日に一度の赤提灯で飲んだくれるのがこの上ない楽しみになっている。
で、きょうも夕方わたしの携帯に着信あり。折り返し電話すると、お茶飲まない〜というお誘い。掛けるんじゃなかった(後悔)。暇そうに見えるかもしれないけれど、忙しいのだ。本当に一時間だけね。絶対に一時間したら帰るから。
※以下、おっさんミーティング。どちらがどちらの台詞かは面倒なので記さない。勝手に解釈してください。必ずしも交互にもなっていない部分もあり。K郎さん、おれはそんなこと言ってない、という台詞はないとおもいます(笑)
「そろそろ脱カレー宣言はどう?」 「無理無理。ポーズでやっていないから。本当に好きだから」 「脱構築ってだれが言い出したの」 「デリダ、ジャック・デリダですよ」 「そもそも脱構築って構築があるから脱でしょー。日本に構築なんてあったの。たしか浅田彰が脱構築を『逃走』といったよね」 「ある中心、ある真理をつくらず絶えずずらしていく思想のあり方が脱構築だから、じゃあ、その中心や真理って日本では何かと問われると何もないに等しい」 「二項対立の解体が少しすんだぐらいかな。ヨーロッパ形而上学の終焉」 「脱構築は、脱構築をも壊していくことを目的としないとね。そもそもその『〜の終焉』ってロジックも終焉だね。終焉ばっかり(笑)」 「終焉も真理に向かって何かが始まっているから終焉なワケでしょう」「“脱カレー宣言の強制”の終焉(笑)」 「だいたいさー あなたのサイト、日を追うごとに文章が長くなっていく。絶対だれも読まないよ(爆)」 「悪かったですねー」
「この間、テレビに出てたよね〜」 「テレビ見るんですか」 「見るよ〜 でもテレビでももっと映画をやって欲しい」 「ドラマは?」 「やっぱりお笑いとドキュメンタリー。そうそう、それで、テレビに出て云っていたキリンがキャラクターの“のっぽパン“、あれ、おいしいよね。やっぱり袋から飛び出すデザインが最高だな。動く広告だし。あのコメントは良かったよ(笑)」 「ありがとうございます(笑)。全体が35センチ以上あるので、必ず袋から飛び出す。折り曲げるのも野暮だから、キリンの首の部分が袋から飛び出すようにして持ちかえる。それを狙ったデザインでしょう。ポルシェもそうだけれど、走っているだけで広告。のっぽパンは持っているだけで広告。でも酒以外にも口にするの?」 「文句ある?」 「最近、コレクションどうですか」 「冷やかしばっかり(笑) 先日もいつもうちに出入りしている時代屋が勝手に○○○を置いていったけれど、ダメだね〜。そもそも自分が飽きちゃっている。それよりもイタリア旅行に行きたい」 「イタリア?なんでまたイタリア。絵でも買いに?」 「いや、ゲーテの『イタリア紀行』を読んだら急に行きたくなった。それだけなんだけどさ。ゲーテみたいにだれにも告げずにある日当然いなくなるから。捜さないでね」 「捜さない、捜さない(笑) ところでゲーテの『イタリア紀行』っておもしろいの」 「読んでない?らしくないね〜(笑)読んでないんだ!!」 「鬼の首でもとったように言わないでよ。『イタリア紀行』のあとに書いた『詩と真実』なら読んだ。岩波文庫で確か四巻もある」 「原点はやっぱり『イタリア紀行』でしょう、あれ読まないと。確か37歳だったかな〜?のゲーテがさまざまな役職を放り出して、ドイツからイタリアに旅立つ。そこで深呼吸するように異文化を吸収するんだけど、それがとにかくすごいのよ。ヴェネティアで“運命の書物”に書かれているような風景に出会うんだけど・・・あとは自分で読んでよ」 「無責任な〜」 「あれ〜 わからなくなっちゃったんだけどさー、そもそもヨーロッパ文学っていうのは、日本文学みたいに一括りにできるわけ」 「とても重要な視点でしょう。少なくとも、古代ギリシア文学とラテン文学、フランス文学は別物でしょう。もっと国単位で見る必要があるでしょう」 「あれれれ、だって、ヨーロッパ文学全体が地中海世界から発生したって考えるのは変なわけ?」 「それは少し乱暴でしょう。国単位として見れば、ドイツが18世紀、フランスやイギリスは15世紀、イタリアは13世紀ごろ国民文学として成立する。それからやっぱりラテン文学とフランス文学はまったく別物でしょう」 「ほう、イタリアはすごいんだな〜。でも、今の話ちょっと覚えきれないからサイトにアップしてくれ(笑)ところでさー、おでん食べたいね」 「カレーの方が食べたい」 「またかよ〜 黄疸出てるし かれー臭もひどくなるし」 「ほらほらそんなアホなこと言ってると、中年からは一喝されますぜ」 「とりあえず、飲まない?」 「飲まない、飲まない、帰る帰る もう一時間経ったし」
のっぽパン(正式名称「のっぽ」)の公式サイト
http://www.geocities.jp/noppo_world/
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