「て」の三日月 〜絢香
絢香Ayakaの『三日月』を聴いているとなるほどな〜とおもう。
歌詞が? いやもっと凄いのは、この歌の「て」の感覚である。
♪
君がいない夜だって
そう no more cry もう泣かないよ ♪
がんばっているからねって
強くなるからねって
君も見ているだろう
この消えそうな三日月 ♪
つながっているからねって
愛してるからねって ♪
語尾の「て」が、ピーンと張られた「弦」genを軽くはじくように、そうして「言」genをはじくように差し出されるのである。この「て」の感覚が実にいい。特に朱で示した消え入りそうな「て」のはじき方が最高である。
この「て」の効果がどのくらい凄いかは、それを抜いて口ずさんでみればすぐにわかる。
まさに「三日月」の感覚である。絢香の良さはこういった「消息」にあるんだとおもう。
「消息」の「消」は消えることで、「息」は現れること。いわゆる陰陽の世界。
これはまさに絢香の歌う月の満ち欠けでもある。