平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

「て」の三日月   〜絢香

moon8


絢香Ayakaの『三日月』を聴いているとなるほどな〜とおもう。
歌詞が? いやもっと凄いのは、この歌の「て」の感覚である。



君がいない夜だって
そう no more cry もう泣かないよ  ♪
がんばっているからねっ 
強くなるからねっ
君も見ているだろう
この消えそうな三日月   ♪
つながっているからねっ 
愛してるからねっ ♪


語尾の「て」が、ピーンと張られた「弦」genを軽くはじくように、そうして「言」genをはじくように差し出されるのである。この「て」の感覚が実にいい。特に朱で示した消え入りそうな「て」のはじき方が最高である。
この「て」の効果がどのくらい凄いかは、それを抜いて口ずさんでみればすぐにわかる。
まさに「三日月」の感覚である。絢香の良さはこういった「消息」にあるんだとおもう。

「消息」の「消」は消えることで、「息」は現れること。いわゆる陰陽の世界。
これはまさに絢香の歌う月の満ち欠けでもある。

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