ブックデザイン風呂敷
三通の郵便物が届く。
一通目はKUBOさんが送ってくださった「いせ辰」の風呂敷。すごいよ、これ〜。風呂敷なのにブックデザイン。和本がリズミカルなパターンを成して列んでいる様は愉快としか云いようがない。確かにいっときは頂点を極めた私の物欲ではあるが、昨今それがさささ〜と潮が引くように消えていた。物欲がなくなったということは歳を取った証拠でもある。だが、私はこういうモノの前では鬼気とするらしく、包みを開けたときにいっしょにいた仕事仲間のY島くんが「平野さん、目がイッテましたよ」と素敵なコメントを囁いてくれた(私はこれを褒め言葉だととった)。
いいじゃん、いっちゃったってさー。さーて、何を包もうかな〜。るんるん。
二通目はNさんが送ってくれた編集工学研究所主任研究員の高橋秀元さんが雑誌『アート・トップ』の「地獄絵巡礼」特集に奇行、いや寄稿した「閻魔と地獄をめぐる冒険」だ。荒俣宏や高山宏も確かに奇才だが、この高橋秀元はまさに奇才中のヘンタイ奇才である(あるバスのなかで難解な日本神話の神々の系譜を蚕が糸を紡ぐように解説したときには一同驚嘆のため息をもらした)。
専門はどうやら考古学や神話学のようだが、彼の頭の中には古今東西あらゆる事柄がネットワーク的に保存されている。
こういうとあわて者は言う。「あぁ、クイズに強い人ね。知り合いにもいますよ。何でも答えてくれる人が」。
そんなモノじゃありませんぜ。桁が違うって。そもそも構造が違うのだよ。こういった人たちに共通する恐るべき能力とは「一問一答クイズ解答形式能力」ではなく、そこに係わる膨大な「因果関係」を瞬時に「フローチャート」にできることにある。それはAというオーダー、Bというオーダー、Cというオーダーに対して、瞬時に中心や頂点や関係性を並べ替えるというとんでもない能力だ。
そんな恐るべきヘンタイ能力が、この度「閻魔と仏教」という間(はざま)に「各地の信仰」という視点を持ち込んで、地獄世界を再編集してみせた。ぜひ、お読みください。
三通目の郵便物は大谷峯子さんの新刊『テキヤ一家のおばあちゃんに学んだ10の教え』(マガジンハウス)である。きょう送って頂いたばかりなので改めてきちんと読んでから感想をアップすることにする。