平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

福音館書店『たくさんのふしぎ』 〜夜へ行こう 中野純の仕事 2008/4/9

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福音館書店の『たくさんのふしぎ』最新刊(5月号)のテーマは「夜へ行こう」である。
著者の中野純さんには、わたしが担当している静岡大学の情報意匠論の特別講座をお願いした。

http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/345.html

『たくさんのふしぎ』については以前にも書かせて頂いた。さげさかのりこさんも140号で執筆されている。

http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/85.html

本書では、さまざまなものがムーンライトとスターライトに照らし出されている。
ここに紹介されている風景そのものが、「あの組織」にも、「こちらの会議」にもまったく欠けてしまっている怪しさだ。わたしがいつも口を酸っぱくして指摘している事柄がこの「一見子ども向き」に見える本につまっている。


著者の中野純さんは現代社会が忘れかけた「闇」の世界へと人々を引きずり込もうとする「逢魔ヶ時の人」「闇への案内人」である。昼から夜へとグラデーションがかかるように、彼自身もこの世とあの世へグラデーションという橋をかける妖術使いである。
また未だご縁はないが、本書で写真を担当されているのが、東京造形大学教授の中里和人さん。
http://www.nakazato.info/
中里さんは、中野さんと他の書籍でも組んでおられるが、そもそもわたしが気になって購入した何冊かの本でも写真家としてすばらしい作品を発表されている。中里さんの「表層シリーズ」やINAXで担当された『石はきれい、石は不思議』はとくに最高の出来映えだ。

http://www.inax.co.jp/gallery/exhibition/detail/d_001039.html

そんなわけで本書は最強のコンビで提供されている。とにもかくにも、ターゲットである「子ども」がなんとも羨ましい限りである。

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わたしも飲み会の帰りに闇夜を歩いてみた。中野さん流にいえばナイトハイクである。

橋を架ける工事現場でシャッターを切る。橋というのは能でも、この世とあの世をつなぐ象徴である。

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明治時代のトンネルでもシャッターを切ってみた ↓

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