(期間限定)わたしコピーライターの味方です!!!
◆何度も言うけれど、忙しい人ほど仕事がはやい!! これは紛れ間もない事実。だいたい時間のある人ほど、(できない)理由をいっぱいつけて何もしません。いや、愚痴だけはいっぱい生産する。
◆とあるアートディレクターから、大手某お茶屋さん(茶葉の加工販売の方ね)のキャンペーンの相談を持ちかけられた。何でも前回頼んだコピーライターが急にお金の話を持ち出しはじめて呆れているというのだ。
そのアートディレクターはカフェのソファにドーンと音を立てて体を放り出すなり「最近のコピーライターは、良いものをつくろうという前に金の話だ!!プリプリ」とかなりご立腹の様子。「すばらしい志を持ったお茶屋さんなのに、それがわからないなんてクリエーターの風上にも置けない奴だ!!」 (あんまり怒ると血圧上がりますよ)。
話を詳しく聞けば、アートディレクター某氏、そのお茶屋さんを担当し始めて既に二十数年も経っているという。いわゆる同じ釜の飯を食い続けている仲である。一方、槍玉にあがっているコピーライターくんはその仕事に参戦してまだ数ヶ月、パンフレットのコピーを数本書いただけだという。で、あまりにもこのコピーライター新参君が(金の話をして)ふがいないので、平野、君がやってくれないか、という話だ。そうしてたたみかけるように「ただしお金はこれだけしか払えない」とも言う。
あのですね〜、お言葉ですがアートディレクターさん! あなたは二つの間違いを犯していますよ。
一つ目は、あなたとお茶屋さんが二十数年間もかけて培ってきた信頼という文脈に、急に新参者を突っ込んで、オレ様と同じような志で仕事をしろというのはあまりにもゴーインですぜ。だってそのお客さんはあなたにとって信頼のおける相手でしょうが、新参君には何にも関係ありませんから。それを「きれい事」にしてまだ数本しかコピーを書いていない新参君に押しつけるのはどう考えてもおかしい。
二つ目。自分の取り分だけを先に横に分けておいて、「新参君、君の分はこれだけだ。こんなに志の高いお客さんのコピーを書けて君は幸せだぞ。有り難いと思いなさい」。そういわれて、どこの誰が「はい!ありがとうございます。声をかけて頂いただけでも幸せです。わたしは写経するようにコピーを書かせて頂きます」となるだろうか。
アートディレクターさん、お言葉ですが、そういう場合には全予算をガラス張りにして、お互いの取り分をきちんと明確にして「それでもやってくれるか」と聞くのが「先輩の器量」というものですぜ。まず、自分の取り分を財布に入れて、「予算ないんだよね〜」とやるからコピーライター新参君は「本能的危機感」を起動させて「あなたは何か信頼できない。まずはお金の話をきちんとしていいですか」となったんですよ。別に「金だ、金だ! コピーを書く前に金の話だ〜。おれは金の亡者だ、守銭奴だ〜。ひと文字ウン万円じゃないと書かないぞ〜」と言ったわけじゃないでしょう(その場にいたわけじゃないからわからないけど)。
わたしはこの二点をその場でアートディレクター某氏に指摘した。こーゆー志のセンセと仕事をすると次に犠牲になるのは自分である。
呼びだされて、愚痴を聞かされ、鞄で伝票を目の前に押し出された。
こーゆーときだけは、わたしコピーライターの味方です!!