平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

その名も「合祝」

ga1


 合宿ではない。「合祝」である。よって寒中、朝日に向かっての突き蹴りの稽古もなければも、歯を食いしばってのウサギ跳びもない。だが代わりに、夜更けまでの意見交換マラソンはあるし、にわか絵描きを強要される。合祝とはそういうものだ。
 極々小さな場だが、間もなく社会へとはばたく学生たちへ向けたわたしからの感謝のしつらえである。

ga4

ga2 ga3

 ただし当日のゲストはそうそうたるメンバーである。白洲正子、ケストナー、萩原朔太郎、中島敦、谷崎潤一郞、幸田文、三島由紀夫、以上七名がみんなを「合祝」し、口べたなわたしがいくら切論しても届かない思いを代弁してくれた。七名の中には、じっくりと腰を据えて語る者もいれば、機銃掃射のようにたたみかける輩もいる。豊穣なワインのような空間をつくり出す者もいれば、禅寺のような凛とした場を提供する者もいる。
 あとは君たちがそこからわたしの気持ちを、良い方へと勝手に「誤読」してくれたまえ(笑)。

 みんな、おめず臆せず、はばたけ。細部を見ながら全体を見回せ。そうして、とびっきりへんちょこりんな師匠に巡り会え。師匠は必要になったときに、向こうからひょっこりと現れるものだ。安心したまえ、わたしが云っているのではない。道教がそう教えている。
 だが逆に言うなら、のんべんだらりんと生きていると、いつまで経っても師匠はやってこない。少しだけ緊張して生きなさい。するとある日、師匠は目の前に「起って」いる。そういうものである。それは君たちより少しだけ先輩の、わたしの体験談でもある。

現在地:トップページ脳内探訪(ダイアリー)

サイトマップ