平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

ミッションとは 美しく生きるとは  〜薄羽美江の仕事 2008/01/04

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穎悟で明哲な薄羽美江さんが自著『〈販売の現場力〉強化プロジェクト』を送ってくださったので、さっそく付箋片手に彼女の話を謹聴した(薄羽さんについては既に記した通り http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/202.html )

薄羽さんはこの本の中で、自ら指導してきたBMW、LHV(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン)、銀座あけぼののブランドづくりの現場を話の柱としながら、コミュニケーションとはなにか、企業のミッションとは何かを存分に語り尽くしている。いや、そんな平たい言葉では彼女の真意は伝わらないだろう。もっと云うなら、本書は、いかに美しく生きるべきかを具体例を挙げながら説いた本である。

本書を拝読した感想だが、①薄羽プロデューサーのもと、一緒に各社のブランディングに参加しているようなリアリティがある。 ②こんなにもたくさんの「方法」を手にし、そうして現場の状況に合わせて使い分けていたことへの驚き。 ③常に沈着冷静で、時代や現場を見渡し俯瞰する能力のすさまじさ。 ④これだけのネタばらしをしてしまって本当によいのかという氏のサービスに対するもう一つの驚き、などである。
そうして薄羽さんは、現場の人間がもっと「考える」必要性を熱く説く。

併せて薄羽さんが送ってくださったのが、松岡正剛、茂木健一郎の対談『脳と日本人』。
この本も薄羽さんの仕掛と尽力で世に姿形を伴って出現することになった一冊だ。彼女の私塾「匙塾」がなければこの本の存在そのものがなかったろう。対談の舞台となったのは、上記URLに記した北山ひとみさん経営の那須二期倶楽部である。

しかしである、わたしがこの二冊を前に本当に伝えたいことはこの先にある。『〈販売の現場力〉強化プロジェクト』と『脳と日本人』は、薄羽美江という人間を語る上でとても象徴的な二冊であるということだ。このどちらか一冊を読んだだけでは氏の目指すべき真の姿勢は見えてこない。むしろこの二冊を「つなぐ思想」「橋渡しする思考」こそ、彼女の真骨頂なのだ。この二冊をつなぐ「間」や「あわい」を彼女自身から学ぶ機会をつくることを強くおすすめしたい。

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※銀座あけぼのに関しては、昨年七夕の朝日新聞「be」(2007年7月7日付)に記事が出ていましたね。わたしはとても印象に残り紙面を保存してあります。いつまでリンクできるかわかりませんが、URLを貼り付けます。動画も見られますよ(時間のない方はchapter4だけでもご覧ください)。まだ見ぬ細野社長の大ファンになりました。http://doraku.asahi.com/hito/runner/071121_02.html 銀座は本当によく出かけるまちなので、次回は必ずあけぼのさんに寄って「物語」を買ってきます。


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