平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

キャスティングということ

mizuumi


 任せる!とうことが大事である。この人に頼んだら、すべてその人の「味」に任せるということだ。
 「誰それに(仕事を)頼んだんだけれども、思ったものが上がってこなかった」と愚痴る人がいる。わたしはそういう人には必ずこういう。「それは頼んだ人が悪いんです。仕事は人選、キャスティングがすべてです。だれに頼むか、だれとだれを組み合わせるか、その値遇にこそすべてがあるのです。それが成功すれば、仕事の9割は成功したようなものです。上がってきたものに、根底からとやかくいうのは野暮です」。発注段階で既に明徹なる物語を持ち得ているか、それが問われていることを忘れてはならない。
 「広告会社の○○に仕事を発注したが、良いものが上がってこなかった」という人もけっこういる。それはそうです。会社に仕事を発注してはいけません。その会社のだれにこの仕事を担当して欲しいか、そこまで発注者は見極めて仕事を出すべきです。その能力こそが依頼主にいちばん求められるのです。
 もちろん互いにアイデアを積み上げて、よりよいものを創り上げることは重要です。その「塩梅」が難しいのです。

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