平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

なぜ履修してくださったんですか?

hyaka


 静岡大学でわたしが担当している「情報意匠論」を履修してくれている一年生に、なぜこの授業をとってくれたのかを聴いてみた。するとこんな答えが返ってきた。
 「シラバスに書かれている〈足もとの石ころひとつから全宇宙を語り尽くす〉に心惹かれました」と。 我が意を得たり! である。あ〜、ひとりでもこういう学生がいてくれたことが、ただただうれしいのである。良き理解者かどうかはわからないが、少なくとも同じ方向を向いている人がいるのだ。 
 わたしは33歳のときからこの目標に向かって、ひた走ってきた。情報を最大公約数で捉えるのではなく、とにかく一度可能な限りあらゆるものを自分自身に通過させてみる。あるいは自分自身が情報を通過していく。世の中のことをすべて知り尽くしたいという欲求を前に、それが可能かどうかなど愚問中の愚問である。「ならば、キミがディドロやダランベールになれるのか」と聞かれても答えようがない(笑)
 そうして、情報意匠論がもう一つシラバスで掲げていることがある。それは自分自身の課題でもある。
「世界中のあらゆる古典を読んでおくことが望ましい」
 何度も云う。あらゆる事柄は古典の中につまっている。

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