平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

看板を守る

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 ちょっと前まで、店の売り子さんは客が来ないときにでも、商品のディスプレイを直したり、入り口に水をまいたり、本当に何もないときにでも店内を「森の人」のようにぐるぐると歩き回っていた。そうして、はたと足を止め、我が客に勧める商品を納得のいくまで、ためつすがめつ眺めていた。
 それがどうだ。最近ではその売り子が、日がな一日パソコンの画面とにらめっこ。在庫の確認でもしているのか。名簿の管理なのか。はたまたZOZO TOWNでも歩いているのか。それともヤフオクかmixiにでも参加しているのか、皆目見当が付かない。せめて、いつ客が入って来ても良いように、背中のセンサーに予備電源ぐらい入れておいたらどうだ。背後から声をかけられ、慌ててノートパソコンの画面を下に向ける風景を脇から見ていると、ははーんと勘ぐりたくもなる。それならばまだ良い方で、顔も上げずにいらっしゃいませ、と便宜的に声を上げる輩もいる。いったいだれに声をかけているのか。
 待ち合わせにて、ある店のショーウィンドウをのぞき込んでいたら、このところずっと感じていたことを吐露したくなった。


      え、まさか、この画面、店で読んでいませんでしょう〜?

ちなみに写真は、左が「大」の文字、右が「小」の文字。右の「小」の文字の看板を時計回りに回転させると大の文字になる。昔の暦屋さんの看板で、大の月、小の月を表した。   
むかしは 小さなお店ほど頑張って看板を守った。今はその看板をどこまで意識しているのだろう。

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