今度の熊楠 〜南方熊楠 + 和多利志津子の仕事
陽気を病んでいるせいか、手首と親指の付け根が激しく痛む。我が腱鞘炎はまったく回復の見込みがたっていない。キーボードをいったん捨てて、万年筆や鉛筆に持ち替えて文字を刻んでみたものの症状は一向に良くなる気配をみせない。部屋に迷い込んだ季節はずれの蚊を、両の掌でつぶそうと勢いを付けたら、殺生するなと激痛が訴える。まったくもってやっかいである。勇を鼓して医者に頼るしかないか(でも注射はごめんです)。
さて、神宮前 ワタリム美術館が、またおもしろい。
昨年9月には「岡倉天心国際シンポジウム 茶の本の100年」で来場者の度肝を抜いたが、さて、茶のふるさと静岡人のいったいどれだけが、この展覧会を覗いたのだろう。足を運ばないでも、このことは知っていただろうか。「世界お茶まつり」の関係者はどうか。きっとそれとこれとは別なのだろう。だが、どんなに急ぎ足で日本の茶を語る場合でも、岡倉天心を語らなければ、大きなブロックがすぽっと抜けてしまうことになる。それに早く気付くべきだ。静岡だからなんて言い訳はまったく通用しない。浅学のわたしが申し上げるのも何だが、肝に銘ずべきだ。
そもそもこの展覧会は館長である和多利志津子さんがそのライフワークとして実施している岡倉天心研究会のいわば集大成といったもので、その連続講座だけでもすばらしかった。
そうして、またぞろ驚愕すべきは南方熊楠「クマグスの森展」である。熊楠は先般、国立科学博物館でもそこそこの展示があったばかりだが、今度のワタリウムはそれに輪をかけて凄そうだ。おおくの未公開映像、写真、資料、直筆の日記が展示されるとのこと。期間中は七人の講師による連続講座もある。しかし、手帳とにらめっこをしてみたが、悲しいかな、そのどこも予定がいっぱいだ。オープニングパーティにもご招待頂いたが、これもダメ。
会期中、どこかでこっそりと熊楠に会ってこよう。親炙している熊楠先生だもの。
◎会期:2007.10.7 - 2008.2.3
◎会場:ワタリム美術館 渋谷区神宮前3-7-6
※ワタリム美術館は、このサイトにリンクしています。
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