高知へ その2
向かって右から、川延安直さん(福島県立博物館)、菅野宗男さん(ふくしま再生の会副理事長)、平野雅彦(静岡大学)
(↑)すぐ上の一枚のみ藁工ミュージアムのスタッフ撮影(2017.9.25 facebookより)
高知県 藁工ミュージアムで開催された『いいたてミュージアム』の勉強会にて、発表し、対談に参加しました。
※以下、当日、わたしが発表したスライドの一部から抜粋。
※文中、特に記載なければ、川延、小林両氏のコメントは、『6年目の 風景を きく』(アーツカウンシル東京,2016)による。
なぜわたしが、(微力ながら) 福島FUKUSHIMAと関係を持ち続けるのか。
それは何よりも、このお二人との出会いが大きかった。
出会いは人を変える力を持っている。
福島県立博物館
・川延安直さん
1961年神奈川県藤沢市生まれ。筑波大学大学院修士課程修了。岡山県立美術館学芸員を経て、現在福島県立博物館専門学芸員。専門は日本近世絵画史。はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト事務局、森のはこ舟アートプロジェクトコーディネーターを務める。
・小林めぐみさん
福島県立博物館主任学芸員。1996年より福島県立博物館に勤務。担当した主な企画展に「ふくしまの工芸」、「漆のチカラ~漆文化の歴史と漆表現の現 在~」など。2010-2012年に開催した会津・漆の芸術祭を企画・運営。
東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所事故後は、文化による福島の復興 を目的に「はま・なか・あいづ文化連携プロジェクト」を実施。福島芸術計画×ART SUPPORT TOHOKU-TOKYOなどの運営にも携わる。
だからほんとうに全部たまたまで、ご縁なんです。「たまたま」と言うと、特に計画的に事業を実施すべきと考えている行政の方にはよく思われないんですが、そうやって偶然出会った情報じゃないと、ほんとうに必要なことってできないんですよね。机の上で計画を立てても、うまくいかない。<小林めぐみ>
理想論を語る方もいるし、こうあればいいという提案はたくさんあるけれど、自分としては、やはり実践が伴っていないなあと思う。<川延安直>
ところで、静岡県では・・・
1969年 遠州灘で大地震が起きるという説が発表される(東京大・茂木清夫)
1976年 駿河湾地震説が発表される(東大地震研究所・石橋克彦) 学会発表で「明日起きても不思議ではない」。以来、特に静岡県民は折に触れ、その説によって不安をつのらせ、時には「安心して」暮らしてきた。県もその言説を前提として、対策を練ってきた。
ところが・・・・
2017年8月25日、駿河湾や遠州灘を震源とするM8クラスの東海地震の防災対策の手順を定めた法律・大震法の改正 中央防災会議・作業部会「確度の高い地震予知は困難である。東海地震直前予知を否定」。
地震の予報が可能であるかという問題が度々提出される。これに対する答えは、「予報」という言葉の解釈次第でどうでもなる。もし占星学者が日蝕を予報すると同じような決定的な意味でいうなら、私は不可能と答えたい。しかし例えば、医者が重病患者の死期を予報するような意味においてならば、あるいは将来は可能であろうと思う。しかし、現在の地震学の状態では、それほどの予報すらも困難であると私は考えている。《寺田寅彦「大正大震災誌」大正13年(1924)5月》
小さなことでも事例は残せる<小林めぐみ>
(静岡大学アートマネジメント人材育成のためのワークショップ100 より)
それに、時間が経つと、どうしてもみんな福島のことを忘れてしまいますよね。それは仕方のないことで、そこに対して何ができるかと言ったら、福島のことをきっかけに自分の地域について考えてもらうことだと思うんです。自分の地域のことになったら、忘れられないことですから。<小林めぐみ>
「博物館」というよくわからない存在が入ると緩衝材になる。
「どっち派か分からない」という曖昧さというのは、結構大事だと思うんですよ。(中略)・・・昔なら大学がある種アジールだったけれど、いまはもう検閲が厳しくなっていますよ。<川延安直>
アートプロジェクトは境界線を跨ぐことができる。境界線って、「線」ですが、その線自体は太くて、互いにそのなかに入ることができるはずなんです。どちらもなんとか折り合いを付けたいと思っているはずだから。展覧会やフォーラムなど、アートは、そういったばをつくれると思います。<川延安直>
重要なことは、自分ごととして「考える」ことである。
しかし、果たして、人は考える葦であるのか? では、「考える」とはどういう行為か
・動き続ける
・発信し続ける
・関係し続ける
・対話し続ける
・想い続ける
・地域を、人を、愛し続ける
わたしは、お二人のぶれない行動と言葉につねに心を動かされてきました。
「いいたてミュージアム」は、「ハコ」を持たないことを信条にしています。場所に縛られず、どこにでも行き、伝える可動性のあるミュージアム。そして、モノと同時に言葉を集める活動です。<小林めぐみ>
福島「を」学ぶではなく、福島「で」学ぶというか。そこで起きていることを共有課題として認識して、そのひとつに福島の話を入れていきたいと思っています。<川延安直>
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◆藁工ミュージアム公式サイト
http://warakoh.com/museum
◆アートゾーン藁工倉庫
http://warakoh.com/about?page_id=884
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