平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

「君の街から本屋が消えたら大変だ!」  2017/08/31

honnya



◆『POPEYE』(マガジンハウス)2017年9月の特集は、「君の街から本屋が消えたら大変だ!」である。それに呼応するように、8月24日(木)の『朝日新聞』朝刊が題字横で「書店ゼロの街 2割超」という記事を発表した(まあ、この数字を見ても別段驚きもしない人はけっこう多いのではないか)。
憶測の域は超えないが、きっとこの記事を書いた赤田、塩原両記者のどちらか、あるいはふたりが、『POPEYE』を手に取って調査を開始、これは一大事!と記事にしたのかもしれない(ちなみに『POPEYE』9月号の発行は8月9日)。

新聞によれば、書店ゼロは420市町村行政区に及ぶという。少しだけ踏み込んで市町の単位でみると北海道赤平市、茨城県つくばみらい市、徳島件三好市、熊本県合志市など7市、堺市美原区、広島市の東・安芸両区の3行政区にも本屋がないのだという。全国の書店数は、1万2526店で、2000年の2万1654店から4割強も減っている。つくばみらい市といえば、人口約5万人の街である。あるいは広島市東区は12万を超す人口がいる。そこに本屋が一軒もないという驚きの事実。本はネットで購入。そもそも人口減。活字離れ、書店の側からみれば利益率の問題などもあるだろう、とにかくいいニュースを聞かない。
 
ところでわたしの住んでいる静岡県では4つの市町村に一軒も本屋がないのだという。この8月には静岡市では老舗の大型書店が、市内の繁華街から駅ビルに店舗を移した。そういえば店舗を縮小したころから、わたしの目には、棚がどんどん瘦せていくようにみえていた。

最近、イベントやカフェで古本が若い人には人気である。街の古本屋は数字でみたらどうなんだろう。





◆毎週水曜日、ポストの前でまだかまだかと夕刊を待っている、そんな気持ちで毎週読んでいる恩田侑布子さんの「窓辺」(静岡新聞)だが、そのすぐ隣の記事では、相も変わらずロケットだ、やれ火星何号だとかまびすしい。ところがその両方が人間として大切なことを教えてくれる。言うまでもないが、そのうち片方は反面教師としてである。
わたしたちは(複数形にする必要もないのだが)、この八月にどれだけ歴史を振り返ることができたのだろう。もう明日から九月である。



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