クリエイティブな談話 2017/08/31
「日本語をめぐる20章」と副題のある『聴覚思考』(中央公論新社,2014)に、こんな文章を見つけた。これは今進めようと考えていることの裏付けとなる意見である。ちなみに、外山滋比古氏は、『思考の整理学』(筑摩書房,1983)のヒットでつとに知られる人物である(最近やや同じ傾向の本を出し過ぎではないかと思うこともあるが)。
「ひとりひとりの生活の次元においても、日本語をより美しく、より豊かで、力づよいものにしていくには、本ばかり読んでいてはいけない。なるべく、人と話し合うのがきわめて大切である。たのしく話し合ってお互いの知性と感性を高めることで新しい日本人が生まれる。おしゃべりなどおかしくて、という知識人は、旧時代の常識に毒されているのである。
クリエイティブな談話というものが、わが国にも、わずかながら存在するが、もっとひろがらなくてはいけない。なるべくタイプの異なる人が、数人、定期的に会合して、これといったテーマがなくても、各人の考えていることを自由に披露すようにしていけば、そのうち、セレンディピティ的な発見がおこる可能性がある。これからの創造は、机に向かい、壁をにらんで沈思黙考する中から生まれるより、にぎやかな放談の中から飛び出す方が多くなるのではないかと思われる」
不肖 わたくしがセンター長を務める「ふじのくに文化情報センター」(公益財団法人 静岡県文化財団)では、「こかげのまなびば」という小さな対話の場を月に2回実施している。ゲストがとにかく多彩で、小さな集まりだからこそ生まれる対話がある。
この場にアップした内容は、その後ペンを入れる場合があります。
バックナンバーはここ↓から。「表示件数」を100件に選択すると見やすくなります。