平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

カーカー グワァーグワァー  2017/06/29

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「最近、庭先でカラスがカーカー鳴くけれど・・・縁起が悪いね〜」と母親がぼそりと言った。わたしといえば、どうせ通りがかりのカラスでしょう。まぁ、田舎だから、カラスの一羽や二羽、そのへんで鳴いていてもなんら不思議はない、とまったく気にもとめなった。

実はわたくし、人一倍カラスに興味を持っている。書籍はもちろんネットを検索して、カラスを捕獲する罠を見ながらひとりモーソーしていた時期もあった。しかしその罠があまりに巨大で半ばあきらめ、それでもなお飼ってみたいと思っていた(法的に問題ない範囲で)。萩原朔太郎の全集の装幀に描かれたカラスには、見る度に興奮を覚えるのである。


母親の指摘から約一ヶ月、ある朝、近所のおばさんが眉間にシワを寄せて、やや興奮気味に我が家にやってきた。
「このところお宅の3階の屋根のあたりにカラスが出たり入ったりしている。きっと巣を作っているんだよ。」
そこで始めて、母親の言葉が真実味を帯びてきた。そういえば、思い当たるフシがある。しかもその鳴き声は確かに、上空高く舞っているカラスの鳴き声ではない。もっと至近距離なのである。しかも思い出すに、一回や二回の話ではない。幾度となく、朝早くから、カーカーどころから、ギャーギャーと烈しく鳴いていたのを、確かに自分の耳が覚えていた、のだ。

で、さっそく、くだんの屋根をのぞくと・・・いたのである、カラスが!!



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階下から三階ベランダに止まっているカラスを睨みつけるわたし(気持ちはジャンプしてつかまえている)。
危険を察したのだろう、近くの電柱に親カラスとその仲間だろうかカラスが四五羽寄ってきて、ギャーギャー ギャーギャーと鳴きだした。ただ事ではない鳴き方である。あたりは朝早くから騒然とした。

そうだ、自宅の3階にのぼればもっとカラスに近づける。階段を駆け上るわたし。

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いたのである、すぐそこに。
3階のテラスで羽を休める小ぶりのカラスが。

相手に気づかれないよう、静かに窓を開ける。
しばらくするとこちらの気配に気づいたのか、緊張が走る。
ジリジリジリと睨み合いが始まる。

カラスは一歩うしろへ下がる。
まだうまく飛べないらしい。最初は親カラスかとおもったが、それが子カラスだったのだ。

子カラスは、まだうまく飛べず、瓦屋根の上をツルツルと滑ったり、雨樋を必死でつかもうとガリガリしている。

ギャーギャー グワァーグワァー

いつの間にか電柱のカラスが更に増えていた。

ギャーギャー グワァーグワァー


これ以上追い込むのは動物虐待だし、近所迷惑でもある。
わたしはこの段になって、はじめて冷静さを取り戻した。

階段をおりて屋根を見上げるわたし。
もう飛び立ってしまったのかもしれない、子カラスの姿はどこにも見えない。
きづいてみたら、周囲を取り巻いていたカラスもすっかり姿を消していたのである。



その後、このカラスの話をする者は誰もいなくなった。
子カラスの行方は、ようとして知れず。



※カラスを飼いたい!どころか、既に(本人が知らないだけで)自宅に飼っていたのである・汗


しかしなんですね、カモシカだのカラスだの、我が家はやはり田舎なのである。

・カモシカ事件
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/2290.html





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