『全身詩人、吉増剛造展 声ノマ』 2016/06/27
『全身詩人、吉増剛造展 声ノマ 〜The Voice Art Between: The Art and Poetry of Yoshimasu Gozo〜』(東京国立近代美術館)を観る。
吉増さんをこの目で「目撃」したのは、今から30年ほど前のこと、静岡市内にあるGALLERYだった。
その日も、自作の詩を朗読する吉増さんは、蝋燭の炎を頼りに洞窟の壁をつたって歩くように、隣接する言葉の硬さ、高低差、温度差などを一つひとつ慎重に確かめつつ選んでいった。わたしはといえば、その言葉をリフレインさせていく声と姿に、ただただ圧倒され、そうして感電してしまった。持ち込んだ著書にも快くサインをしてくれた。そこには、「大切な本を汚してしまってゴメンなさい」と書き添えられていた。
今回の展示で、特に日誌・覚え書きをじっくりと拝見して気づいたのは、1975年頃から、吉増剛造は、今に続く「吉増書体」(手書き文字)なるものを発明し、一気に吉増剛造その人になっていく。この書体の発明がなければ、一ミリにも充たない細い行に、執拗なまでに言葉をリフレインさせていくことはなかったろう。
いずれにしろ、言葉だけではなく、声も書体も写真も色も指先も、全身がリフレインしている。それが吉増剛造の詩である。
Sさんに感謝致します。
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