オーバーホール 2015/12/10
偶然、ピアノフォルテのオーバーホールの現場に遭遇した(於・静岡音楽館AOI)。
これまで何度か地方の公民館でピアノの演奏会を聴くことがあったが、築30年近く経った館にあるピアノの音は、ほぼスカスカの状態である。もちろん地方の公民館が買えるピアノ故、もともとグレードがそれなりだったりする。奏者の技量もあろう。だがそれらを差し引いても、やっぱり、はーふーはーふーした力ない音だったりする。この頼りなさの原因は「歳月」である。
AOIの学芸員 小林旬さんの話にもあったが、そもそもピアノという楽器は、ヴァイオリンのように弾けば弾くほどよい音色になっていくとは限らない。寿命というものが意外と短い。それは88ある鍵盤がつねに強い力で引っ張られているためで、駆体・アクションに大きな力がかかっているからだ。そのために、数年に一度は、オーバーホールが必要になってくる。
音域という点では、少々乱暴な言い方だが、モーツァルト、ベートーベン、ショパンと時代が下るにつれてどんどん広がっていく。つまり鍵盤の数が増えていく。
あ、そういえば星座の数も鍵盤と同じ88。二三十年前?、星座盤に五線譜を投げて、星を音符に見立て、偶然そこに立ち上がった譜面を演奏した音楽家がいた。武満徹+杉浦康平の仕事??
オーバーホールとは、一台のピアノと徹底して向き合う作業。音楽でも聴きながら、と言うわけにもいくまい。まことに孤独な作業である。きっと職人の頭の中で音が鳴っているのだろう。
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書いておきたいことが山のようにあるが、とにかく締切に追われて窒息状態。
健康診断の結果も呼び出されたまま、問診を受けている間がない。自分の身体のオーバーホールが必要だ。
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