平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

「生きるためのアート」  全国アートNPOフォーラムin浜松 2015/03/13

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先日、「全国アートNPOフォーラムin浜松」があった。主催は、NPO法人クリエイティブサポートレッツ/NPO法人アートNPOリンクである(共催:静岡県/浜松市、助成・公益財団法人福武財団、日時:2015年3月6,7,8日、会場:アルス・ノヴァ、のヴぁ公民館)。

テーマは、「生きるためのアート」

これまで、「生きるための・・」に続く言葉は、せいぜい「食料」とか「住居」であったし、その役割を具体的なカタチにしてきたのは、むしろ「デザイン」であった。そこへ、ついに「アート」が名乗りを上げた。この切実感というのか、リアリティの力である。
例えば、レッツの久保田翠さんの書かれる文章を時々拝見しているが、そこには日々の闘いが垣間見える。だが、目の前に起きている事実を丁寧に言葉にしていきながら心の有り様を違うステージに変換させて乗り切っていくチカラが見える。これこそがレッツの推進力になっているのではないだろうか。そうして、何よりも強いのは、久保田さんには仲間がいると言うことだ。周りにいっしょに歩いている大勢の足音が聞こえて来る。ベンヤミンの言う、「夜のなかを歩みとおすときに助けになるものは橋でも翼でもなくて、友の足音だ」(野村修『ベンヤミンの生涯』平凡社)である。


ところで、わたしは、7日のアイデアフォーラム「社会包摂と創造都市」にお邪魔した。パネリストは、立木祥一郎さん(合同会社tecoLLC代表)、吉本光宏さん(ニッセイ基礎研究所研究理事)、根本敏行さん(静岡文化芸術大学文化政策学部長)、進行は山森達也(創造都市研究者)の面々である。

大切なキーワードをいくつも頂いたが、このフォーラムで、パネリストらが一つ大きな結び目をつくったとするならそれは、「創造都市とは、未だわからないという価値を受け入れるまち」ということだ。
確かに、人は、「何だかうまく説明できないけれど、いまここで起きていることは、とても大切ことである」ということが直感的にわかるものである。ところが最近、「何だかうまく説明できないけれど、いまここで起きていることは、かなりまずいことである」が判る能力は、かなり麻痺してきているとおもう。この能力は裏腹である。あわせ技である。このふたつを別々の案件として扱わず、常にいっしょに語り続けて行くことが、2020年のオリンピック・パラリンピックを成功へと導くであろう。

そういえば、『地域創造』が2012年春の号(volume.31)に「支えるアート」の特集をしていたのを思い出した。あれから数年、この分野も一層注目を集めてきた。

●レッツ 公式サイト
http://cslets.net


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