平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

シュガードローイング  2014/07/10


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「ベルナール・ビュフェ美術館 開館40周年 21世紀アートプロジェクト」

「佐々木愛 Four Songs」(会期: 2014年4月12日(土)―7月8日(火) クレマチスの丘、ベルナール・ビュフェ美術館)を観た。また関連イベント「対談 歩いてきみははじまった」(菅啓次郎×佐々木愛)を聴き、狩野川沿いを歩きながらのワークショップ「カサにお絵描き」にも参加した。





その日は、雨が降ったり止んだり。
自分の傘とワークショップ用に頂いた傘、あわせて二本。

みんなで狩野川の周りを、ちいさなさんぽ。



風景にビニール傘をかざす。
そうして風景をトレースする。
遠景と近景、実景とイメージが傘の中で重なりあう。
自分が風景に近づくのか、それとも風景の方が近づいてくるのか。

傘をちょくせつ植物に押し当てて、掟破りのトレース。
遠くの山並みと足下の花が多重露光する。


できあがった傘をぐるぐると回してみれば、今と昔が追いかけっこをはじめた。


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( ↑ )美術作家の佐々木愛さん。クレマチスでは、ワークショップ「向かい合って描きっこ」もおこなっている。

寿命の短いビニール傘に、もう一つの役割を与えた。

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( ↑ )参加したおそらく小学校2,3年生の少年は、自分を中心に360度、風景を描ききった。

◆ 美術作家・佐々木愛さんの作品に最初に出会ったのは、おそらく文芸誌『新潮』だろう。新聞広告で見た古井由吉さんの『窓の内』を読みたく、蛇腹折りの目次をめくったら、ページをまたぐようにして、彼女の絵が横たわっていた。ドキッとするほど新鮮な感覚と懐かしい風景が同居していた。

彼女を有名にしたのは、おそらく「シュガードローイング」という手法による大壁画だろう。砂糖、卵白、檸檬などによって制作されるレースのような作品。それは照明や自然光によって様々な表情をみせる。鑑賞者が、巨大な作品の前で、右へ行ったり左へ移動したりと、ウォーキングする。場合によってはダンスする。そう、彼女のテーマのひとつは、「歩く」なのだ。

写真は、彼女の技法シュガードローイングを見立てた初の作品集『Landscape Storis』の表紙を撮影した( ↓ )。
ブックデザインは、原田祐馬、山副佳祐(UMA/design farm)。


・佐々木愛公式サイト
http://www.sasakiai.com


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