平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

手帳は来年も・・・

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(気分を変えて、ですます調で) 
 
 来年の手帳、もうお買い求めになりましたか? わたしは、一昨日、ここ数年使い続けている手帳の発売を待って、来年一年間生活を共にする手帳を買い求めました。今年も案の定六月頃から、来年以降の予定が入りはじめ、巻末に付箋を貼り付けて対応しておりましたが、それでも数が増え、いかんせん不自由を余儀なくされておりました。
 手帳のメーカーですか?このところ、ほとんどMOLESKINE(モグラの皮の意味)http://www.moleskine.co.jp/culture/history.htmlを使っています。ヘミングウェイやゴッホやピカソやブルトンが愛用したそれです。何が良いって、本の装丁とほぼ同じ造りで、とにかく堅牢なのです。表紙が固いので外出先では小さなデスクの役割も担ってくれます。インクの滲みも少ないですしね。わたしは大判を使っていますから、欄外にちょっとした日記やアイデアも書き込むようにしております。月曜始まりの一週間見開きタイプです。とくに時間目盛りは入っておりません。ある方から、一ヶ月見開き手帳を使った方が、先を見越した動きがしやすいというアドバイスを頂いたのですが、今度は一マスのスペースが小さすぎて用件が書き込めないというストレスが発生しました。なかなかうまくいかないものです。

 メモ帳はスケジュール帳とは別に、ずっと四種類のHermèsを使っています。やはり1837年からの伝統と歴史、とにかく革がすばらしい。持った瞬間脳が喜んでいるのがわかります。それは手に吸い付くような感覚。ただし、問題はわたしのようながさつなオヤジが使うには、その柔肌は繊細すぎるのです。細かな傷は避けられません。本来ならレースの手袋をしている貴婦人が、ロールスロイスの後部座席で、ケリーバックから取り出して、来週のプライベートをちらりと確認をする、というのがあるべき姿。庶民が安易に使ってはいけないのかもしれません。ブランドというだけで毛嫌いする方もいらっしゃいますが、やっぱりブランドのすばらしさは使ってみてはじめてわかるものです。ただ悲しいかな、日本ではブランドイコール消費文化という構造がすっかりできあがってしまいましたから、いやだ、という方の気持ちもわからないではありません。

 わたしの手帳歴は、まあ、ほんとうに自分でも呆れるほどですが、小学生のころ使っていたサンスターのスパイ手帳(三冊購入)を皮切りに、社会に出てからはシステム手帳の雄fILOFAXを二冊も買い込んで重装備を決め込んだり、英国王室御用達SMYHSONで気取って見せたり、これまた英国の馬具メーカーMULBERRYのシステム手帳でこだわりを演出したり、そうしてLOUIS VUITTONは大小いくつかのサイズの手帳もそれなりに使いこなしました。が、ちょっと今はそういう気分ではなくて休ませております。
 そんなわけで、手帳との関わり方は、ライフスタイルと気分でどんどん変わっていくということを、身をもって体験してまいりました。まだ、「ほぼ日手帳」は使っていませんけれどね(某図書館長TOYODAさんは確か三冊目ですかね)。

 昨今では、手帳で人生を変える、といった謳い文句が流行っていますが、わたしは手帳をバイブルとして扱う気にはなれませんし、そこまで縛られたくありません。また名前を付けて秘書にする気にもなれません(実は以前、「羅山」と名付けておりました。お分かりになりますか)。その代わりといってはなんですが、ずっとスクラップ・ブックを続けております。実は、手帳を作り込むということとスクラップ・ブックとユング心理学の共通点は「箱庭療法」なのです。
 スクラップ・ブックをしていると、わかるのですが、とにかく心が安定するのです。その日、移動中に鞄に突っ込んできた雑多なものたちを、帰宅と同時にテーブルに一気に広げる。アイスクリームのスプーンから映画の半券、芝居のチラシや石ころ、薬のパッケージまで実に色々なのですが、それらを感覚を頼りにノートに貼り込んでいく。そのときに自然と行っているのが自分なりの秩序を整えていくという箱庭療法なのです。たったこれだけの行為で、とても気持ちが落ち着くのです。これが混沌した世界からの脱出、自己開放につながっている。わたしは自らの体験からそう見ています。疲労しきった心がすっきりし、ストレス解消にはもってこいです。三日坊主でも良いのです。三日坊主を何回か続けましょう。ストレスが溜まったときにだけやってみる、というのも良いのです。
 YAMAMOTOさんやらKUSAWAKEさんやらSUGITAさんやら実の多くの人に半強制的に勧めて同好会と(勝手に)名乗って迷惑がられています。でも学生の何人かは今でも続けてくれているようですよ。

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○無印良品のスクラップ・ブックに、エルメスの手提げを貼り付けた。これを持って一度銀座本店に行ってみたい。

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○子どものころ夢中になったサンスター スパイ手帳(え、正式名称は「スパイ・ザ・パック」だったんだ〜)。どれだけの方がご存じかな。とにかく水に溶けるメモや特別なペンで擦ると浮かび上がる文字など、当時小学生のわたしの度肝を抜いた。

※なんだか雑感みたいな文章になってしまってヤナ気分になる。慣れない、ですます調がいけなかった。削除したくなってきた。

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