2013年度『掛川現代アートプロジェクト・夜の美術館と現代アート茶会』 2013/11/19
『掛川現代アートプロジェクト・夜の美術館と現代アート茶会』(NPO法人 掛川の現代美術研究会主催 代表 山本和子)は、アートプロデューサーの山口裕美さんが、毎年一名の現代美術作家を選び抜き、その作家に某かの茶道具一点を発注する。そうして、できあがったばかりの茶道具を使って茶事をたのしむという贅沢な企画である。
今回はこのプロジェクトも一区切りとなる7回目を迎える。その大取を努めることになったのがコスチュームアーティストで、NHK教育テレビ「にほんごであそぼ」「からだであそぼ」の衣裳担当で有名なひびのこづえさんである。
つい先達て、茶会のプレビュー『夜の美術館とトークショー』(茶会は2014年2月)がひびのこづえさんと山口裕美さんによって行われた(於・大日本報徳社仰徳記念館 掛川)。テーマは、「天壌無窮」。天壌無窮とは、永遠につづくことの意味で、『日本書紀』の天孫降臨の下りでこの言葉と出会った人もいるかもしれない。
この対談によって、こづえさんがどんな茶道を準備されているのかは、ついぞ明かされることはなかったが、そもそもそれは野暮なことだとホストの山口さんが考えたのだろう。
第1回目から制作されてきたものを並べ、こづえさんがコスチュームアーティストであることを考慮すれば、おのずと何を制作されるかは、みえてくるだろうから・・・
・1回目(2007年度)ゲスト:現代美術作家 ミヤケマイ、テーマ「温故知新」、茶道具:掛け軸『初まり始まり』
・2回目(2008年度) ゲスト:現代美術作家 中村ケンゴ、テーマ:「和魂洋才」、茶道具:棗『スピーチバルーン イン ザ ヒノマル』
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/754.html
・3回目(2009年度) ゲスト:現代美術作家 名和晃平、テーマ:「気韻生動」、茶道具:風炉先屏風『カタリスト#12』
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1069.html
・4回目(2010年度) ゲスト:現代美術作家 東泉一郎&坂本美雨、テーマ:「方円可視」、茶道具:現代美術作家 東泉一郎 茶杓『炎』『風』(茶杓の袋・手編みケース竹村旬子)
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1490.html
・5回目(2011年度) ゲスト:現代美術作家 土屋公雄、テーマ:「優遊涵泳」、茶道具:水指『石水指』
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1708.html
・6回目(2012年度) ゲスト:現代美術作家 本田健、テーマ:「愚公移山」。茶道具:茶碗。白茶碗『兎』、白茶碗『狐』、黒茶碗『熊』の3点
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1871.html
・7回目(2013年度) ゲスト:コスチュームアーティスト ひびのこづえ、テーマ:「天壌無窮」、茶道具は??
対談が終わったあと、何人かの方々が「ひびのこづえさんはわかりやすかった」 とコメントをされていた。だが、本当にひびのこづえという人はわかりやすいのだろうか。
コマーシャルから、雑誌、教育、映画、舞台と場所を次々とスライドさせながら新しい切り口でコスチュームや舞台セットを発表していくこづえさんの仕事とボリューム、そういうひびのこづえという人は、わたし平野にとっては決して「わかりやすくない」。もっと言えば、「わからない」。わからないからこそ、作品の前でスピードを落とし、ゆっくりと観察する。作家と作品に問いかけ続ける。そういった行為によって普段は使わない脳の回路が動き出し、自分の考え方と向き合うことになる。常に目の前に登場するものが想像を超えてしまうからこそ子ども達は、こづえさんの作品の前で歓喜の声をあげる(しかない方法がない)のだ。わたしはそう理解している。
もっとも、みんなが言うように、わかりやすく見せてしまうのが「こづえマジック」なのかもしれない。
来年2014年2月の『夜の美術館と現代アート茶会』が、今からとっても楽しみである。ドキドキ。
( ↑ )向かって左が山口裕美さん。右がひびのこづえさん。
◆ひびのこづえプロフィール
こづえさんは静岡出身。彼女は言う。「わたしのカラー感覚をつくったのは静岡の色です」と。静岡県は富士山のてっぺんから駿河湾の底まで、標高差は約6千メートル。これが生き物の多様性を生み、景色をつくり、こづえさんの仰っている「多様な色」を生んでいる。
http://haction.co.jp/kodue/home.html
( ↑ )山口裕美さんのプロデュースのおかげで、掛川市には貴重な茶道具がコレクションされることとなった。この価値は、10年後、20年後という年月が証明していくだろう。
◆山口裕美オフィシャルサイト
http://tokyotrash.net
( ↑ )NPO法人 掛川の現代美術研究会主催 代表 山本和子さん。すべはこの人の呼びかけで始まった。
http://sasaeruchikara.jp/?post_type=parsons&p=1364
NPOで活躍するみなさんの士気は常に高い。本当に感心させられっぱなしである。本当は全員のお名前をこの場に挙げたいぐらいである。
◆掛川の現代美術研究会オフィシャルサイト
http://genbiken.jimdo.com
◆この催しで欠かせないのが『夜の美術館』である。手渡されたLEDライトで各々がつくる照明で観る掛川市二の丸美術館のコレクション(木下コレクション 煙草道具、浮世絵)は、与えられた30分間弱ではとてもすべてを観ることはできない。これはこれでやりようによっては単独の催しになるだろう。学芸員のKさん、Sさん、企画してください。
http://www.city.kakegawa.shizuoka.jp/kankou/spot/art/ninomarubijyutu.html
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2013年12月1日 現代アート de 富士山提灯行列
・ほとんど発言しないFacebook http://www.facebook.com/masahiko.hirano1
・ほとんどつぶやかないTwitter https://twitter.com/shizuokano1
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