テクマクマヤコン テクマクマヤコン 鏡よ鏡よ鏡さ〜ん
資生堂にお勤めのSATOHさん(女性。このひとが資生堂の全歴史を保管・展示発表している)が以前こんなことをおっしゃっていた。「最近の女性は百円ショップのゆがんで映る鏡でお化粧しても平気なんです」。この何気ない言葉にわたしはかなりショックを受けた。震度6強ぐらいの心の動揺があった。そんなことは生まれてこの方考えてもみなかったことだからである。鏡に対して、ただ映ればよい、そう漠然とおもってきたのが明治以来の世の常ではないか(神事の鏡は違うけれど。そもそも鏡の発達は神事なんです)。
わたしもその発言を確かめるべく百円ショップに立ち寄って、実際に100円鏡を手に取ってみた。確かに!!微妙に波打っている。あの日あの時SATOHさんの額が曇った理由がよくわかった。自分の顔を映す鏡が、そもそもゆがんでいると知ったらどうする。それで化粧してどうなる。そこに何も感じない日本人ってどうだ。「日本の女性は美しい」ではないのか。そう言わしめているのは、常に自分を意識し続けるためのツール、鏡の存在である。
そもそもわたしはこの古めかしい名前を持った資生堂という企業が好きだ。資生堂は数年前に主要機能を汐留に移したが、あくまでも銀座という街にこだわり続けた。「東京銀座資生堂」であって、銀座から撤退することをよしとしなかった。資生堂あっての銀座、その自負なのである。わたしはそういう態度にしびれるのである。
資生堂で辣腕を揮った元宣伝部の部長SATOHさん(こちらは男性。あの広告もその広告もSATOHさんのクリエイティブディレクション)とホテルのロビーでお茶をしていたら、目の前を通りかかった女性を一瞥した彼がぽつりともらした。「最近の女性のお化粧は、波打っているんだな〜」。ダブルSATOHさんの言葉がここで通電した。
◎追記:
@資生堂のデザイナーOKAIさん、ぜひ、杉浦康平さんの講演会をまた実現したいですね。
@漫画・ひみつのアッ子ちゃんでは、変身するときの呪文を「テクマクマヤコン テクマクマヤコン ○○にな〜れ〜」という。一方変身から元の自分に戻る呪文は「ラミパス ラミパス ルルルルル〜」という。
前者はとくに意味はないようだが、後者を逆から読むと「スーパーミラー スーパーミラー ルルルルル〜」なのである。ちなみに、ひみつのアッ子ちゃんの作者は、なんとあの天才バカボンの赤塚不二夫さんなのであ〜る。これでいいのだ。でも鏡のことはよくないのだ。先日バカボンのパパにお会いしたらとてもご立腹であった(ウソ)。