人生最大の幸せとは 2007/09/07
人生の最大の幸せは、自分の師匠を持つことである。恋も愛もビジネスも多くの幸せをもたらしてくれるが、やはりエベレスト級の幸せは師匠を持つことにある。もちろん自分にとっての師匠でよい。その師匠にあたる人物が社会的に認められていようがいまいが関係ない。あるいは非難を浴びる存在であってもかまわない。着ているモノ、言い回し、仕草、その一挙手一投足、すべてを真似したい、そう心からおもえる存在、それが師匠だ。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの哲学者・内田樹さんの『先生はえらい』を多少援用しながらいうと、師匠というのは何を考えているのか訳のわからない存在である。だからこそ、師匠なのだ。わかってしまった段階で師弟の関係は終止符を打つ。まだまだこの人には奧がある、そうおもえるからこそ師匠なのだ。
師匠とは常に弟子を裏切る存在でもある。まとわりつけばつくほど、師匠は弟子を振り払う。そうして逆説的な発言を繰り返し、弟子は煙に巻かれる。意図的ではない。師匠自身が悩み抜いている存在だからだ。師匠とは基本的に人間である(べつにカラスや猿が師匠であってもかまわないが)。だから生理現象も人並みにあり、ウソもつけば矛盾もある。それが師匠という存在だからしょうがない。ただし、師匠自身が、この矛盾と常に猛烈に格闘している。ウソも方便も逆説も本音も建前も、師匠自身が何かを乗り越えるための壮絶な叫びなのだ。弟子はその火の粉の降りかかる距離にいるのだ。だから弟子は弟子でいられるのだ。
しかし、おおくの弟子は、これらに耐えられない。決まって愚痴を言い始める。よっていずれは袂を分かつ。あんな奴は師匠じゃない、と吐き捨てる前に、そのひとを師匠にした自分の未熟さを反省すべきなのだ。
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