肩で風を切る
異常な肩凝りである。頭痛を伴う症状である。肩凝りと頭痛の因果関係における一般論について論ずることはできないが、この両者、何も関係していないわけがない。なぜならわたくしの場合、肩凝りは常に頭痛を伴ってやってくるからだ。しかし、マッサージは苦手なのである。アカの他人が体を触ってくるというのは、わたくし的にはヒジョーに緊張して、これは新たな肩凝りを誘発する原因となってしまうのである。
一葉は「肩が張る」といった。漱石になってはじめて「肩が凝る」と綴るようになった。しかし、その漱石も「肩凝り」と名詞化してはいない。名詞化してはじめて病気になる。「頭が痛い」では病気ではない。「頭痛」ではじめて病気と認定される。ということは、肩凝りは漱石以後、病気に格上げされたということだ。
以前、フランス人と話をすることで、あの哲学の国には肩凝りがないと言うことに気付かされ、驚いた。「背中が悪い」というそうだ。Mal au dos かな? 肩ではなく背中なのだ。ナポレオンも、ジャンヌ・ダルクも、ベンヤミンも、サルトルも、みんな肩ではなく「背中が悪かった」のだ。
最近のわたくしは、肩で風を切っているうちに、肩で息をしている状況です。いえいえ、まだまだ肩の荷は下りていません。
海月、そうクラゲでも見に行こうかな。