「わたしって晩年?」 〜「草間彌生・わたし大好き」記録映像のワンシーン 2013/05/12
静岡県立美術館で開催中(2013年6月23日まで)の、前衛芸術家・草間彌生「永遠の永遠の永遠」展の一環として、記録映画「わたし大好き」が上映された。
これは、草間彌生のF100号(1621×1303㎜)シリーズ「愛はとこしえ」全50点を制作していく過程を軸に、彼女の生き様を描いた作品だ。
監督の松本貴子さんとおぼしき人が、「先生、晩年にこれだけのものを残せるってすごいですね」と話しかけるシーンがある。すると草間はこう答えるのだ。
「わたしって晩年?」
会場は、一瞬にして笑いの渦に包まれ(この質問も失礼なのですが)、わたしも思わずつられて笑ってしまった。だが、間髪入れず、この言葉の深さが伝わって来た。
叙勲に際して、文科省からの肩書きの問い合わせに「前衛芸術家・草間彌生でお願いします」とはっきりとした口調で云う彼女の姿がそこに重なって、わたしは晩年なのかと反射的に聞き返した草間の存在が巨大に思えた。死ぬまで現役、最前線でいつづける、そんな自分を信じる力をそこに見た。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1907.html
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