平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

静岡県立美術館ボランティア 草薙ツアー・グループの茶振る舞い  2013/03/20

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2013年3月16日(土)に、静岡県立美術館の「維新の洋画家 川村清雄展」にあわせて行われた草薙ツアーグループによる茶振る舞い。ここで振る舞われる茶は美術館のプロムナードで摘まれるヤブキタ茶である。



静岡県立美術館には「草薙ツアーグループ」というボランティア組織がある。
同館の他のボランティアが、館内へ訪れた人たちと関係をつくることを中心に活動しているなら、草薙ツアーは、来館者はもちろんのこと、その予備軍との関係をつくることを活動の中心においている。言い換えるなら、静岡県立美術館の縁側で活動をしているグループだ。メンバーひとりひとりが縁側そのものであるとも言える。縁側ゆえに、縁を立ち上げることを目指している。
ゆえに美術館のプロムナードにたまたま散歩に来た人もその対象となるし、他のイベント会場などで出会った初対面の人もファン予備軍としてみて、積極的に関係をつくっていく。

「静岡にはこんな種類のお茶がありまして・・・プロムナードにそれらの茶の樹が植えてあり・・・今度お茶摘みをしますので、よろしければ展覧会を観るついでに参加してください。今美術館ではこんな展覧会を開催しておりまして、見所は・・・」といった運びだ。

今やボランティアは、美術館の運営にとって、なくてはならい大きな存在になっている。文化政策は、ここにもっと時間と予算を割いて、その可能性を多角的に議論すべきだろう。もちろんボランティアはボランティアでいいのだが、それでも運営主体が既成のボランティアという言葉(概念)から抜け出せないでいると、イメージの中のボランティアと実質的な役割との間に大きなズレが生じてしまうだろう。

先にわたしは、このボランティアの活動を縁側だと書いた。日本の建築から「ちょっと坐っていきなさいな」という縁側がなくなってきたら、人々の関係も急速に冷ややかになってきた。もっと言えば、詩作に興じる場もなくなってきたことを意味する。古の人々がどこで歌を詠んだか。縁側とは、そういう装置なのである。

草薙ツアーには、以前大学の授業にも来て頂き、活動に対する理解と参加の呼びかけをしていただいた。こういった活動は、地域連携の端緒ともなるだろう。事実、わたしはこの草薙ツアーの継続的な呼びかけによって、ぐっと美術館が身近になったし、大学の授業で美術館と係わらせてもらうための潤滑油にもなっている。




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ちなみにこの日のために投げ活けられた花は、白木蓮、寒緋桜、土佐みづき、椿、馬酔木、柘植、大島桜。



◆2010年 草薙ツアーの企画に参加して
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1363.html


◆静岡県立美術館ボランティア 草薙ツアー 
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/japanese/community/volunteers_kusanagi/


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※今日現在、twitter上でつぶやかれている平野雅彦さんは、私平野雅彦ではありません。


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