矛盾をそのまま受け入れる 2013/03/11
島田市博物に寄贈したコレクションについて話をして欲しい、FM島田がそんな依頼をくださった(「Sunday Free Talk」60分番組 3月10日生放送)。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1759.html
話題は、手塚漫画の「主線」の話から両性具有に飛び火し、結局いつもの「人は、なぜプラス思考というモノラル発想でしか問題を扱えなくなってしまったのか」という話になった。
アトム誕生そのものが抱えてしまっている存在矛盾。女性性でありながら男性性になってしまった性的矛盾。アトムがどんなエネルギーで動いているのかという社会的時代的矛盾。ロボットでありながら人間に恋をし、戦う相手に温情を掛けてしまうという自己矛盾等々。
人間が抱えている自己矛盾をプラス思考で覆い隠すのではなく、それらと如何に向き合い続けるか、その重要性をわたしはずっと言い続けている。例えば、藝術とは、その「矛盾」が時としてぶつかりあってギリギリと音を立てるところから生まれ出るものではないか。いや、むしろそこにこそ藝術の最初の一滴があるのではないか。
おそらく、鉄腕アトムの大きなテーマは、巷間で言われる勧善懲悪などというモノラル思考ではなく、「矛盾を矛盾として受け入れる」というデュアルな構えにあるのだとわたしは考えている。何度も言うけれど、「愛」の根底には「哀」が潜んでいるように。
パーソナリティーの佐藤みえさんと大石真喜子さん(声楽家)、ディレクターの山本怜央さんのすばらしい運びに大いに助けられた。ありがとうございました。
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※今日現在、twitter上でつぶやかれている平野雅彦さんは、私平野雅彦ではありません。
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