静岡市美術館で開催中の『新美南吉、生誕100年 ごんぎつねの世界展』 2013/02/24
( ↑ )『新美南吉、生誕100年 ごんぎつねの世界展』の内覧会には、本展覧会会場にも展示されている南吉作品の読書感想文を書いた静岡市内の小学生たちが大勢参加していた。ふたつ上の写真は、静岡市美術館館長 田中豊稲さんのご挨拶。すぐ上の写真は新美南吉記念館館長 山本英夫さん。司会はテレビ静岡アナウンサー菰田玲子さん。
静岡市美術館で開催中の『新美南吉、生誕100年 ごんぎつねの世界展』が、興味深い。
『ごんぎつね』や『おぢいさんのランプ』を聞いたことがないという日本人はまずいない。
だが一方で、そこには知らない南吉がたくさんいる。そもそも南吉という名前はどこから来ているのか。南吉は、愛とか生きるということをどのように捉えていたのか、夭折の作家だとは聞いていたが・・・云々。
作品はさておき、その人となりとなる私たちはこの国民的児童文学者のことをほとんど何も知らない。
「やはり、ストーリーには、悲哀がなくてはならない。悲哀は愛に変る。けれどその愛は、芸術に関係があるかどうか、よし関係がなくても好い(愛が芸術なら好いけれど)俺は、悲哀、即ち愛を含めるストーリーをかこう」(※昭和4年4月6日の日記より 部分)
こんな文章を見つけると少しだけ南吉の生き方が伝わってくる。
「愛」の奥には、「哀」がある。南吉が伝えたかったテーマの一つではなかったか。
( ↑ )本企画を担当した学芸員の森谷さん。森谷さんの創意工夫は、会場の配色や「長居をしてもらうための仕掛け」などにも生きている。写真は会期中に開催される「立版古」を象徴した森谷さん考案のディスプレイ。この前で記念写真を撮るのもいいだろう。「立版古」ってそもそもなんだ?なんて読むんだ?という方は、ここを入口に江戸や明治時代の本の世界に入って行くのもいいだろう。
このほか、会期中にはワークショップや講演会などもたくさん用意されている。またわたしも顧問を務めている静岡図書館友の会による読み聞かせも何度もある。
◎静岡市美術館公式サイト
http://www.shizubi.jp
しりえに、南吉のこんな言葉を添えておこう。
「死ぬのは、嫌だ。生きていたい。本が読みたい。創作がしたい。」(昭和8年12月6日の日記より)
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※今日現在、twitter上でつぶやかれている平野雅彦さんは、私平野雅彦ではありません。
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