平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

節度を保つこと。節度を保つこと。 2012/11/01

kage


誠に有り難い話ではあるのだが、本日わたしとしては、相当場違いな席に座ることとなった。
そんな折り、ちょうど太宰の『もの思う葦』の中でこんな文章と出遭った。

「節度を保つこと。節度を保つこと。」

太宰は同じ言葉を二度並べた。
おそらく自身を戒めていたのだろう。


同じく『もの思う葦』から、この先のわたし自身のために、いくつかの文章を書き留めておきたい。

・「文章の中の、ここの箇所は切り捨てたらよいものか、それとも、このままのほうがよいものか、途方にくれた場合には、必ずその箇所を切り捨てなければいけない。いわんや、その箇所に何か書き加えるなど、もってのほかというべきであろう。」(兵法)


・「文章に善悪の区別、たしかにあり。面貌、姿態の如きものであろうか。宿命なり。いたしかたなし。」(文章)


・「なんだ、みんな同じことを言っていやがる。」(ふと思う)


『もの思う葦』は『晩年』と並行して書かれた作品だが、そこでは、太宰が麻薬に手を出し、自殺未遂をし、もがき苦しんだ末に紡ぎ出した言葉たちが、時には自らを捨て、息をのみ、そうして立ちすくみ、身を屈め、震えているようにも思える。

そういえば、『もの思う葦』の書き出しには副題のような格好で「当たり前のことを当たり前に書く」とある。


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※今日現在、twitter上でつぶやかれている平野雅彦さんは、私平野雅彦ではありません。


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