平面に描かれた生け花 〜中川幸夫の仕事 2017/8/31
以前雑誌「家庭画報インターナショナル」 “脈動する軸”の取材で、生け花作家・中川幸夫の作品撮影に立ち会った。併せて展覧会も開催した。
とくに印象に残ったのは「花楽」というシリーズで、それは花の汁で文字や絵を描く手法であり、ゆえに年月が経つにつれて、それはどんどん色褪せていく。そうしてやがて、すべてが白紙に戻っていく。観る者は、この作品の前で、かつてここに大きな花が咲いていたなあ、とそう記憶を手繰り寄せて観る作品なのだ。残像と面影、生と死の作品だ。いってみれば、生け花そのものなのだ。
それに耐えられない者は最初から中川さんの作品の前に立たない方がよい。
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