嫉妬
三十代半ばを境にネットワークとか人脈とか、そういう言葉が妙に鼻につくようになった。
誰それを知っている。 で、何? である。
この態度の方がよっぽど鼻につくといわれる。結局ひとは、自分は何ができるか、自身がどこまで考えられるか、である。最近つくづくそう思う。しかし、一方で人の成果はきちんと評価したい。そのためにわたしは人の名を挙げる。
人は、嫉妬する生き物である。他人の成果はおもしろくない。でも不思議なことに、ほとんどすべての人は、山東京傳に嫉妬しないし、芭蕉や寺田寅彦や永井荷風に嫉妬しない。嫉妬は常に「今」「目の前」「リアルタイム」である。
わたしの考えている情報意匠論は、まさにこの古の人々への「嫉妬」を原動力とする。