平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

頂きで、頂きます。〜Tembooo、間もなくオープン   2012/05/15

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民俗学者・宮本常一(1907-1981 山口県)の父・善十郎が彼に贈った十ヵ条というものがある。この場ではとくに〈2〉を見てみたい。
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/620.html
(リンク先に跳ぶのが面倒な人のために、やはりこの場にアップする。他も見ておいて損はない)。

「村でも町でも新しくたずねていったところはかならず高いところへ上ってみよ、そして方向を知り、目立つものを見よ。峠の上で村を見おろすようなことがあったら、お宮の森やお寺や目につくものをまず見、家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ、そして山の上で目をひいたものがあったら、そこへはかならずいって見ることだ。高いところでよく見ておいたら道にまようようなことはほとんどない。」

わたしもこの教えに則り、いっときは他県の人がはじめて静岡市にやって来ると、決まって静岡県庁の屋上に上ってもらい静岡市を一望してもらってから、市内を案内したものだった。


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さて、県庁が葵区なら、駿河湾が見渡せる駿河区に新たな「展望デッキ」が完成した。その名も「café & Restaurant Tembooo」。ネーミングに場の特徴や勢いがあっていい。このcafé & Restaurantは静岡新聞社ビルの17階にある。
コンセプトは、「旅」。広い店内をヒマラヤ山脈のように東西に切り分ける大きな書棚は、本屋を開業する者ならお百度を踏むという伝説のある京都は恵文社のセレクションによるトラベル&フードという懲りようだ(わたしはここであるアイデアを思い付いてしまった)。チラリと拝見したところによれば、新刊も古書も同居している心地の良い配架配列になっていた。

このTemboooは、味もボリュームも満点(そうしてなんといってもリーズナブル)。17階という頂きでは、美味しいお料理と気持ちのよい接客の「頂き尽くし」というわけだ。おまけにほぼ360度のスカイビューときている(この景色は無料)。運が良いと、静岡新聞社の取材用ヘリコプターの離発着が目の前で見られる(もちろんこれも無料)。

もしもわたしなら、ちょっと贅沢な時間を過ごすことに加え、静岡を旅する起点として、このレストランをリストに加えるだろう。もちろん旅の終点にここに舞い戻るというのも粋だ。冒頭に挙げた宮本常一に倣うなら、静岡初という来客をまずはこの場に通すのだ。それには、あの書架に、静岡新聞社が発行した膨大な書物の中からこれぞという静岡縁の旅の本が顔を揃えているのもいいだろう(PRも兼ねて寄贈して頂いたらどうだろう。ただし恵文社のセレクションを邪魔しないような配架配列が必要だ)。より地域密着を考えるなら、選りすぐりの観光パンフレットを並べてみてもいい(ダサイ、パンフレットやチラシは絶対に並べない方がいい)。

そうそう、このTemboooは、5月17日(木)グランドオープンということだが、この17日という記念すべき日は、きっとこのレストランのある17階と掛かっているに違いない。このレストランのオーナーである高松多聞社長と美奈子さんはこういったさりげないウィットに富んでいるのである。あれ、勘違いかな? ふふふふふ。

オープン、おめでとうございます。

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まさに静岡天空図屏風




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( ↑ )ピザの乗った木の器は木工作家の加藤育子さん(静岡県藤枝市在住)作。ずっしりとした存在感でありながら、料理をさらにもり立てる。


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( ↑ )京都 恵文社セレクションの旅をテーマとした本棚(※写真は部分)


( ↓ )静岡に長い方なら、この場はバイロンの名で馴染みがあるかもしれない。そこをオーナーであるタイタコーポレイションが新たな命を吹き込んだ。ちなみにこの静岡新聞社のビルは、新東京都庁や広島平和資料館の設計を担当した丹下健三によるものだ(静岡の方は駿府会館でも馴染みがあるだろう)。



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( ↑ )デザイナー深沢直人作ラウンジチェアーHIROSHIMA




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タイタコーポレイションの店舗を次々と成功に導く近藤マネージャー(向かって右)とオーナー高松美奈子さん。



photo:レセプションパーティにて
オーナー:タイタコーポレイション
http://taita-corp.co.jp/




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※今日現在、twitter上でつぶやかれている平野雅彦さんは、私平野雅彦ではありません。


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