平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

アートな一日  2012/04/07


【静岡市美術館】

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2012年4月7日(土)からはじまる「森村泰昌 モリエンナーレ まねぶ美術史」の内覧会に呼んで頂き、森村作品を堪能してきた。
http://www.shizubi.jp/exhibition/future_120407.php

森村さんはご自分の方法というのか生き方といえばいいのか、そこに「まねて、まなんで、今の私がここにいる」とした。
わたしがやって来たことを横に並べて語るのは恐縮だが、2004年からはじめた大学の授業に付けたスローガンは、「型があるから、型破り。 〜型を真似る、型を破る」である。云いたいことは森村さんと同じある。

子どものころはだれもが、アニメの主人公の台詞を真似る。そうしてヒーローを気取って風呂敷マントをつけ、親のスクーターのヘルメットをかぶり、自転車で田んぼを疾走した(いったい何時代だ?)。でも全員がそのうちそんなことから卒業していく。なんだかよそよそしくなり、妙に大人っぽくなる。恋をしたらいよいよ「ごっこ」にはピリオドだ。でもそんなことにめげずにやり続けたのが森村泰昌さんというひとだ。真似て、真似て、真似をし続ける。なりきるとは対象が憑依することだ。だから「自分」ではなくキャラクターがしゃべり出す。そこまでいくと、やっとその先に「個性」というものが萌芽する。
最初からオリジナルなんてものはありはしないのだ。「オリジナルの教育」なんてものはそう簡単に教えられるものじゃないんだよ。

今回改めて森村さんの作品キャプションには唸ってしまった。さっと流せない。どれもこれもアートの言葉だし、批評の言葉になっている。


【情報意匠論ポスター】
http://www.hirano-masahiko.com/uploads/2004.pdf
http://www.hirano-masahiko.com/uploads/2005.pdf
http://www.hirano-masahiko.com/uploads/2006.pdf


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【静岡県立美術館】

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その足で、静岡県立美術館の学芸員 現代美術担当 川谷承子さんスピーカーのアートの宵に参加。
川谷さんは4月14日(土)からはじまる「カラーリミックス」の担当学芸員だ(若者に特に川谷ファンは多い)。
http://www.spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/japanese/

話は現在開催中の「Girl/Woman/Mother」(なんと300円で石田徹也、森山大道、植田正治、ジャック・カロ、カナレット、G・B・ティエポロ、マルコ・リッチらの作品が見られます。会期は4月8日までですよ)の作品解説にはじまり、14日からの収蔵品展「カラーリミックス」のプレビューまでを一息で駆け抜ける。
川谷さんは「Girl/Woman/Mother」の展示を通して、本来なら社会学で扱う「専業主婦」を、時代のあるいっときに「生息」したのだと解説し、美術史の中に据えて見せた。

収蔵品展「カラーリミックス」はちょっとすごいですよ。「ジャンル横断。意外な組み合わせでイロイロみせます」「色を手がかりに、美術の世界へ」「名品の魅力を再発見」という視点で編集されたこの展覧会、若冲ファンなどは、絶対にこのチャンスに足を運んだ方がいいですよ。とにかく、収蔵品でこれだけの展覧会ができる美術館は全国でもそう多くはないでしょう。
コレクションはコレクションを呼び(寄贈・寄託)、そうして充実した研究と展示が可能となる。欧米のミュージアムはそうやって力をつけていったんです。
この日、川谷さんにあと倍の時間を差し上げたかった(わたしが企画者じゃないけれど)し、もっと聴きたかった。
静岡県立美術館ボランティアグループ草薙ツアーのみなさんも、ありがとうございました。


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