平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

知性の差が顔に出るらしいよ……困ったね。 2011/11/01

kj3


ロラン・バルトの次の言葉がこころに突き刺さる。

「知性とは驚く能力である。」

知性が働かないと、そもそも周りで起きていることに気付き、発見し、驚くことすらできないのである。ある出来事、ある事件、ある予兆がたんなる風景の一部分となってしまう。

わたしは人間が知性として働かせなければないことに、もう一つ大切なことがあると思っている。それは、隣のひとが困っているときに、それを先回りして補助することである。
どうせわたしのことではない。わたしのやることではない。わたしの担当ではない。そういう態度は甚だ知性に欠けた態度だと考える。
「さすが、あなたって気が利くのね」といった感覚的に発せられる言葉というよりも、大仰に聞こえるかもしれないが、それは煎じ詰めて言えば、知性の問題である。なぜなら、隣のひとが「困っていること」は、「あらかじめ予測できる」からだ。予測して先回りして動く。これが他の動物と人間の大きな違いだろう。


そういえば、もうずっと前の仕事だが、日本を代表するコピーライター仲畑貴志さんの創られたコピーにこんなものがあった。

「知性の差が顔に出るらしいよ……困ったね。」(新潮社・新潮文庫)

「困ったね。」とシッポを付けたところが秀逸だ。
いやはや、本当に、困ったね。


この場にアップした内容は、その後ペンを入れる場合があります。
※今日現在、twitter上でつぶやかれている平野雅彦さんは、私平野雅彦ではありません。


バックナンバーはここ↓から。「表示件数」を100件に選択すると見やすくなります。

現在地:トップページ脳内探訪(ダイアリー)

サイトマップ