以前から気になっている二つの「平野」 2011/05/31
明治17年、天然の鉱泉水(炭酸水)がビンに詰められて発売されました。これが三ツ矢サイダーの元祖、三ツ矢平野水。
ずっと以前、夏目漱石『思い出す事など』(岩波)を読んでいて「平野水」にばったりと出会ったときには少々驚きました。また、そのあと立て続けに読んだ宮沢賢治も平野水の大ファンだと識ってさらに驚いた記憶があるのです。
さあ、今年の夏は、三ツ矢サイダーを見たら、わたし平野を思い出してくださいね。
『思い出す事など』二十六(「夏目漱石全集7」ちくま文庫、筑摩書房)には次のようにあります。
「昔の計を繰り返す勇気のなかった余は、口中を潤すための氷を歯で噛み砕いては、正直に残らず吐き出した。その代り日に数回平野水を一口ずつ飲まして貰う事にした。平野水がくんくんと音を立てるような勢で、食道から胃へ落ちて行く時の心持は痛快であった。けれども咽喉を通り越すや否やすぐとまた飲みたくなった。余は夜半にしばしば看護婦から平野水を洋盃に注いで貰って、それをありがたそうに飲んだ当時をよく記憶している。」
そうして、もうひとつの平野は、あの秀吉が愛した平野飴。大阪のおばはんたちがいう、「なあなあ、あめちゃん食べへん? あめちゃん」と手提げ袋やCartier、LOUIS VUITTONのバックからアメを取り出すのは、実は秀吉が元祖? まさか、ね。
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