お化けだぞ〜 中央公論新社NAGURAちゃんの仕事
中央公論新社のNAGURAちゃんは、短刀と長剣を巧みに使い分ける編集者だ。KONITA先生の秘蔵っ子らしい。
そのNAGURAちゃんは京極夏彦さんや森博嗣さんの書物を世に送り出している才媛だが、それはそれとして、わたしがもっとも評価しているのは、余り目立たない中央文庫のBIBLIOシリーズだ。これは歴史の中に埋もれてしまって、だれも手をつけないような本を探して出してきては、流通に乗せるというほとんど儲からない仕事だ(すみません)。『日本の幽霊』(池田彌三郎)『日本怪談集 妖怪編』(今野圓輔)『酒呑童子の誕生』(高橋昌明)『日本の海の幽霊・妖怪』(関山守田彌)などがそのラインナップだが、今では彼らの仕事を知る人もそう多くはないだろう。わたしは、豪雨で水に浸かってしまった日野巌の『植物怪異 伝説新考』を再び文庫で読めるなんて思ってもみなかった。
造本もほんとうに良い。帯の幅といい色といい、カバーと帯の色バランスもセンスが光っている。コピーは「神秘なんか問題ではありません」。なるほど、さらりと読み飛ばしてしまいそうだが、実は全部をきちんと読んだ編集者ならではの文案だ。勉強していないコピーライターには絶対に書けない仕事である。
この季節だからこそ日本の怪談を再読するには良いチャンスだ。
NAGURAちゃん、ちゃんと増刷してくださいな。大きな本屋さんにもなかったよ。ぷりぷり。