平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

『うっとりはなにみとれたら』 『みんなかわいい』 〜内田麟太郎さんの新刊二冊  2011/04/09

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内田麟太郎さんの新刊『うっとり はなに みとれたら』(絵・渡辺有一 文研出版)、『みんなかわいい』(絵・梅田俊作 女子パウロ会)の二冊が出版された。



『うっとり はなに みとれたら』には、うっとり花に見とれるサイやワニやゾウが登場する。そうして、内田さんらしくお化けですら花に見とれる。ヘビにいたっては大好物の・・・(つづきは本を読んでね)
わたしは「見とれる」ということが大好きだ。そもそも大好きだから見とれる。対象に心奪われる。心をすべて一瞬にして持って行かれる。わしづかみされる。相手を見たまま目が逸らせなくなる。心ここにあらずになる。とにかく空っぽになる。好きな人が目の前に現れると多くの場合、そうなる。「自分探し」なんか一瞬にして忘れる。「自分」は自分の中だけにないことを痛いほど知る。「見とれる」とは既に哲学だ。
渡辺有一さんの描くサイのお尻がかわいい。中空に巨体を浮かべるゾウもその重さを忘れさせてくれる。子どもたちは砂の布団で寝ているワニをきっと探すでしょう  (*^.^*)

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『みんなかわいい』。果たしてこれを書いてしまっていいのか。しかし、この絵本のいちばんすばらしいところを書いておかないと始まらない。それは最後の一行、本当に最後の一行が「すとん」と音を立てて、心のサヤに収まるところにある。
その一行とは、本書のタイトル「みんなかわいい」である。最後の一行だけを最初に読んでもそのすばらしさは伝わってこない。テキストを順に自分の中で積み上げて行く。一文字一文字、一枚一枚の絵を自分の中でじっくりと味わっていく。決して急がない。だが、リズミカルに。そうすることによって、最後の最後にすとんとメッセージが落ちるのである。
梅田俊作さんによる最終見開きページ、黄色の使い方は秀逸。






●内田麟太郎さんに関する「脳内探訪」内の記事
http://www.hirano-masahiko.com/tanbou/1421.html



【追記】
以前の本になるが、これもおすすめなので、アップしておきます。
なにやら近々、村田エミコさん&内田麟太郎さんコンビの絵本が出版されるらしい。
写真は、村田さんのかわいいサイン入り絵本。

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