平野雅彦が提唱する情報意匠論| 脳内探訪(ダイアリー)

平野雅彦 脳内探訪

被災地の急場をしのぐ移動図書館   2011/03/30

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本がある。ただそれだけでひとは幸せになれる。何ともたのしそうな、人間らしい風景だ。


日本に住んでいると図書館という存在は「あって当然」になっている。もちろん利用に不便な地域はあるが、公共図書館の団体貸し出しや自動車による移動図書館などがそれをカーバーして、情報格差をなくそうと頑張ってくれている。ありがたい。

ところで、いったん世界に目を転じてみると、びっくりするような移動図書館が各地域で活躍していることがわかる。
たとえば、イングランドのブラックプール海岸図書館では海辺でくつろいでいると手押し車の移動図書館がやってくる(図書館は「建物ではなくサービスだ」が売り)。フィンランドの海に点在する群島をまわる移動図書館は船だし、インドネシアでは自転車移動図書館も大活躍している。そうして、ケニアの一部ではロバが移動図書館を担っている。なんと象が移動図書館だという国だってあるゾウ!

今、東北地方で被災してしまった地域では図書館の再建が急がれる。子どもたちへ絵本を送ろう!という寄付活動や読み聞かせボランティアも各地で動き始めている。そんな案内がわたしのところにもほぼ毎日のように送られてくる。
もちろん図書館の再建は急務だろう。なぜなら、図書館はその土地の文化や記憶そのものだからである。
ただ、今回の場合には、完全再建までに少し時間がかかりそうだ。その準備が整うまでの活動のために、この写真絵本『図書館ラクダがやってくる 子どもたちに本をとどける世界の活動』(マーグリート・ルアーズ著 斉藤規訳 さ・え・ら書房)はアイデアをたくさん並べてくれている。避難所への本の提供は、ロバの背中は無理だとしても、「手押し車移動図書館」というアイデアは十分アリだろう。サイズは小さくても、より多くの場所(避難所)へ。 なるほど、参考になる。


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