天と地と こことむこうと 〜李白「静夜思」から 2011/03/18
牀前(しょうぜん) 月光を看る
月の詩人ともいわれる李白の「静夜思」の第一句である。
第二句はこうつづく。
疑うらくは是れ 地上の霜かと
すなわち、寝床にさしこんでくる月明かりを、地上におりた霜かと思った、というのだ。冴え冴えとした冬の月明かりが地面を真っ白に照らし出す。李白のハッとした顔が浮かぶ。もしかしたら窓をいっぱいに開けたのかもしれない。一瞬にして部屋を冷気と月明かりとが支配する。酔いも一気に覚めるだろう。
そうして李白はこうつづける。
頭を挙げて山月を望み
頭を低れて故郷を思う
天と地を李白の眼がゆっくりと往復する。
そうして目の前の世界と遠く離れた風景とが響き合う。
故郷を想うことは人を想うことだ。
切ない。
※この詩については、日本と中国ではその解釈に差異のあることはつとに知られています。
※今宵はスーパームーン 18年ぶりに地球に大接近 14%大きく30%明るく見える
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