紅にほふ桃の花 〜『万葉集』から大伴家持 2011/03/18
寝つけません もう真夜中の四時過ぎです
春の苑紅にほふ桃の花 下照る道に出で立つ少女(おとめ)
『万葉集』におさめられた大伴家持の歌です。
紅が匂うように桃の花が咲き誇っています。しかも下から照り返しがくるように咲き誇っているのです(その花によって道も紅く照り輝いている、とした方がいいか)。その小道からおとめが目の前にあらわれた。
家持は小道から飛び出してきたおとめにただ目をやっているのでしょうか。そんな状況の描写でしょうか。わたしには、「紅にほふ桃の花」とおとめが懸かっているように思えてならないのです。瞬間にして、そのおとめに心奪われてしまった家持がわたしには見えるのです。深読みでしょうか。いえ、出逢いとはそういうものだし、それでなければ歌など詠まないのではないでしょうか。
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